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閃の軌跡 ー辺境の復讐者ー
第16話〜中間試験に向けて〜
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るラウラを呼び止めてそれだけ告げると、ラウラが微笑で返してくれた気がした。

−第三学生寮−

「もう駄目だ。ファミィに勉強は無理。女神様、いらっしゃるのなら彼女の天才級に馬鹿な頭を何とかしてやって下さい」

「そ、そこまで言わなくてもいいじゃない!!」

シフトジャンケンの結果、ガイウス、ユーシス、フィー、マキアスの順に勉強を見て回ったケインは、最後の砦にして最大の難関たるファミィの教師役を30分と経たずに放棄しようとしていた。夢見心地の授業がいくらかあったにしてもファミィの飲み込みがかなり遅かったからだ。特に帝国史が酷い。獅子戦役において、かのドライケルス大帝が挙兵したのが帝都ヘイムダルと彼女が真顔で答えたときは椅子から転げ落ちそうになった。正解は言わずもがなノルド高原で、帝国人なら子供でも知っている常識のはずだ。最西端で帝国のはずれにある村に住んでいたケインですら知っていたことである。

「俺が期待する答えは返ってこないと思うけど、一応聞いておくよ。帝国史の入門レベルなら日曜学校で触れたよな?というか、ファミィって帝国人?」

「ニチヨウガッコウ?ああ、ここに入る前に通ってた学校ね。私は帝国人よ。住んでるところで分からないの?」

「それは分かるんだけどさ・・・疑いたくもなるだろ」

少なくとも帝国人は獅子戦役におけるドライケルス大帝の挙兵場所を間違ったりしない。帝国史は基礎からやり直さなければならないとケインが思っていたところで、一階に下りてきたマキアスと目があった。

「ケイン、調子の方はどうだ?」

「それがその・・・いや、平気だよ」

「僕も手伝おう。自分の勉強はほとんど終わってしまったし、暗記系科目なんかは詰めるに越したことはないからな」

「俺が引き受けたんだから、マキアスは休んでいてくれ。迷惑をかけたくないんだ」

「・・・君の歯切れが悪いのは、たいてい相手にものを頼もうとするときだろう?それに、全然迷惑なんかじゃない。僕が効率良く仕切るさ。少しは親友を頼ってくれないか?」

「マキアス・・・ありがとう」

少しは周りに頼れとサラ教官にも言われたことを思い出したケインは、マキアスにも教師役に加わってもらうことにした。

「どうでもいいけど早く教えてよ!時間ないんだから」

「「何様なんだ君は!?」」

良い友人を持ったなとしみじみとした心地に浸っていたケインや、少し手間のかかる友人だなと思いながらも口元が笑っていたマキアスは、事の発端であるファミィの素っ気ない一言に水を差され、多少の怒りを覚えずにはいられなかった。

「ふぅ。ひとまず、ファミィの明日の試験は大丈夫、かな・・・」

日が完全に沈み、学院が月明かりに照らされ始めた頃、ケインは例の如く学生寮を抜け出
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