第一部 学園都市篇
第3章 禁書目録
七月二十七日・夜:『剣理:殺人刀』
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》曲がる。二度、三度と繰り返し。その向かう先は……勿論、逃げようと背を向けた“毒蛇髪神”。
《無駄だよ。“風王の爪牙”は、狙った獲物は逃さない────黄衣の印に狙われた者には、平等な滅びがあるのみ》
過たず、背から撃ち抜かれた“毒蛇髪神”は“触手海神”と同じ末路を。地面の緑色の灰の中へと、微塵となって消えた。
後、残るは────
《お前だけだ、“悪逆涜神”》
『クク……』
右腕を再生させて頸無しのままに蠢く医師の、醜悪な姿を睨み付けた。
………………
…………
……
刹那、槍騎士の足が鈍る。それもその筈、それは仕方ない。どんなに訓練したとしても、突き付けられた剣先への恐れが消える筈もなく。ましてやつい先程、目を潰されたばかりならば。
「────“浮舟”」
揺らす長谷部の剣先、まさに波間に浮かぶ船のように。その一瞬の隙に、偃月刀を────長谷部と融合させる。
ショゴスの同化能力をもって、黒燿石の刀身に玉虫色の輝きを灯した長谷部を。
《ヌゥアァァァァァァァァァァァァ───────!!!!》
それと、槍騎士が意気を取り戻したのは全くの同時。二人の武士は、全く同時に各々の得物を。
十の槍襖とたった一つの刃、勝負にすらなる筈もない。待つのは、一方的な蹂躙であり。
「────……」
《────……》
刃を地に突き立てて左手で鍔元を握り、右手で柄頭を持ち、その上に頭を置いた嚆矢。まるで、諦めたかのように。それに、槍騎士が目を見開く。衝撃と焦燥をもって。
武芸者の戦いの真骨頂は、技を出した後ではなく技を出す前。勝負は、技を出した時には決まっているのだ。
「柳生新影流兵法────」
しかし敵十体に対して、嚆矢はただ一撃。嚆矢は本物を見極めつつ槍を躱しながら、射たねばならぬ。
無理、無謀が過ぎる。そんなもの、十分の一の確率など─────
「“老剣”────が、崩し!」
《な、に!?》
槍襖が、透り抜ける。涙子を連れて屍から逃げる際に使用した、己の能力『確率使い』による『トン
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