第一部 学園都市篇
第3章 禁書目録
七月二十七日・夜:『剣理:殺人刀』
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「は、はい!」
「お気をつけて」
迷いを覚えた配下の二人を祭壇に向かわせ、立ち上がる巨躯の騎士に、再度注意を。あの二人は見逃すしかない。無理に斬りかかれば、先にあの槍が此方を貫く。その槍も、見切りさえしくじらねば活路はある。無論、斬りかかりながらなどは不可能な話。
三度、上段構えで迎え撃つ。相も変わらぬ“合撃”打ちの構え。
「簡単に言ってくれるな、舐められたもんだ。じゃあ此方はテメェの残りの目ン玉七つ、後、涙子ちゃんに向けた暴言分の金玉二つ。合計十個、粉砕してから殺してやるぜ」
《出来るものならやってみろ、莫迦の一つ覚えの“合撃”で出来るならな……ならば、此方はこうしよう》
槍騎士が十文字槍を左手に、石打を地面に突き立てた。基本の“四股”ではない、見た事の無い構え。腐っても免許皆伝か、引き出しの多さに言葉にしないまま反吐を吐く。
右足が浮いた。まるで、ポールダンスの踊り子じみた格好。戦には不釣り合いな、その構え。一体、何を狙っているのか……全く解らない。
解るのは────一挙手一投足でも見逃す訳にはいかないと言う事のみであり。
《宝蔵院流────“巴”!》
「なッ!?」
そんな当たり前の行動しか取れないからこそ、故に敵の術中に嵌まる。鍛えられた武人であればある程に。未だ、至らぬ若輩であればある程に。
グルリと還った石打に巻き上げられたコンクリートの欠片が、堆く積もる緑色の粉末が、顔面にぶつけられた。
(目潰し、か!)
顔を振って回避を試みるが、この散弾を前にしては無意味が過ぎる。臍を噛むも、余りに遅い。意趣返しだ、この技は。
上げられた足は陽動、全ては槍から意識を逸らす為の。
緑色の粉、先程まで屍であった粉とコンクリート片の混じり合ったものが視界を奪う。乾燥した粉末が眼球に張り付いて水分を奪い、更にコンクリ片が鋭敏な眼球の痛覚を抉る。目を擦ろうとする本能を、辛うじて理性で留めて。
しかし止めようのない人体の反射が、異物を洗おうと涙を流してしまう。よって視界は、更なる混迷に。
《仕舞いとしようか────見る事は出来まい、故にその身でとくと味わえ。“宝蔵院の槍、槍の宝蔵院”……その真髄を!》
構える気配がする。或いは、殺気をそう感じたか。何にせよ、文字通りに身を持って受けるしかない。
その結果は、火を見
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