暁 〜小説投稿サイト〜
駄目親父としっかり娘の珍道中
第5部
紅桜編
第66話 初めて使うキャラは大概扱いに苦労する
[4/12]

[8]前話 [1] [9] 最後 最初 [2]次話
を出して寝てはダメですよ。このチャイナ娘の二の舞になりますから。

「ほら、おかゆたくさん作ったから食べて。いっぱい食べていっぱい汗出せばすぐ風邪なんて治るから」

 そう言ってなのはが持ってきたのは巨大な寸胴鍋に並々と入ったボリュームメガサイズのおかゆであった。ふつうだったらそんな量食べ切れる筈はないのだが、相手は暴食で有名な神楽なので恐らく問題はあるまい。

「う〜〜、食欲が出ないアルぅ。全然食べる気がしないアルよぉ〜〜〜……あ、おかわりヨロシ?」

 言ってる事とやってる事がまるっきり矛盾しているが、この際目を瞑って貰おう。別に今に始まった事じゃないし。

「はいはい、その分なら後2〜3日安静にしてれば治るかな? とにかく、今はしっかり安静にしてないとダメだよ」
「そ、そうはいかないアルよ! 私が倒れたら……誰が、誰が定春を散歩の連れて行くアルか?」

 顔面真っ赤にしてふらふらな足取りで立ち上がろうとするが、すぐさま倒れこみなのはに抱き抱えられてしまう始末であった。

「無理しちゃダメだってば! 神楽ちゃん今熱が40度近くあるんだよ! 安静にしてなきゃ危ないって」
「だって、だって……定春が、定春が私を待っているネ! 散歩に行きたい、散歩に行きたいって大声で私を呼んでいる筈ネ」
「そんな体じゃ散歩なんて無理だよ。大丈夫だって、散歩だったら何時もお父さんが行ってくれてるから今回だって行ってくれるよ」

 因みに最近定春の散歩は専ら銀時の仕事になってしまっている。まぁ、普段仕事がないので暇つぶしがてらやっているのだろうが、相変わらず銀時には懐いておらず、下手に刺激すると頭を噛み砕かれてしまう危険性すらあるのだ。

「おい、何か一つ襖の向こうで恐ろしげな会話が流れてる気がするんだけど。何? この状況で俺にあいつの散歩行かせる気か? 冗談じゃねぇぞ!」

 心底御免こうむると言った状況であった。正に前門の虎後門の狼ならぬ、前門のエリザベス後門の定春状態であった。

「おぉい、お父さん達は今大事な仕事の真っ最中だから、定春の散歩はお前が行ってきてくれや。ってかマジでお願い」

 銀時が襖越しに声を張り上げる。すると、軽快な足音が近づき、勢いよく襖が開かれたかと思うと、其処にはいつも以上に目を輝かせているなのはの姿があった。

「え? 良いの、私行ってきて良いの?」
「あぁ、良いよ。夜までには帰って来いよ。最近物騒だからなぁ」
「分かった。それじゃ散歩行ってくるからお仕事お願いねぇ!」

 とても嬉しそうにそう言いながら定春と共に勢いよく外へと飛び出して行ってしまうなのはであった。これで問題は一つ減った。後は夏風邪全開の神楽だが、あいつならおかゆを置いておけば勝手に食うので問題はないだろう。
 
[8]前話 [1] [9] 最後 最初 [2]次話


※小説と話の評価する場合はログインしてください。
[5]違反報告を行う
[6]しおりをはさむしおりを挿む
しおりを解除しおりを解除

[7]小説案内ページ

[0]目次に戻る

TOPに戻る


暁 〜小説投稿サイト〜
利用規約/プライバシーポリシー
利用マニュアル/ヘルプ/ガイドライン
お問い合わせ

2025 肥前のポチ