第二章
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第二章
「逃げ出すことができないからな」
「難しいからな。だからな」
「ああ、撃ち落されてたまるか」
これは彼等に共通する考えだった。
「絶対にな」
「生きて帰ろうな」
「何があってもな」
こう話してだ。そのスターリングラード中心部に向かうのだった。そこでソ連軍を爆撃するユンカースの護衛についた。そこにだ。
ソ連軍の戦闘機がだ。うんざりする数で来たのだ。
「ミグにヤクか」
「一機一機は大したことなくてもな」
「数がな」
「百機は優にいるな」
その数を実際に見てだ。ハイデッケンもホルバインも言った。
「多いとは思ってたけれどな」
「今日は特に多いな」
「そんなにこの街が大事かね」
ここでこう言ったのはハイデッケンである。前から来るその縦にも横にも層の厚いソ連軍戦闘機隊の大軍を見ての言葉である。
「まあ名前が名前だしな」
ハイデッケンはすぐに己の言葉をこう言って否定した。
「スターリングラードだからな」
「あいつの名前だからな」
「ああ、ヨシフおじさんのな」
だからだ。まさにそれが重要なのだ。
この街で何故死闘が繰り広げられているかだ。それは名前故だからだ。二人の独裁者の意地がだ。この町で激突しているのだ。
「あのおっさんも我が総統閣下もな」
「引くに引けない」
「俺達もな」
「それならだ」
意を決した。そこでだった。
隊長機からだ。指示が来た。
「いいか、行くぞ」
「了解」
「迎撃ですね」
「一、二、三中隊はスツーカの護衛だ」
まずは彼等がだった。
「残る四、五、六でイワンの戦闘機を迎え撃つぞ」
「わかりました」
「それじゃあ」
ハイデッケンとホルバインはだ。第四中隊にいる。つまり迎撃だった。
「わかりました。それなら」
「行きます」
「よし、戦闘開始だ!」
こうしてだった。彼等は戦闘に入るのだった。ハイデッケンとホルバインもだった。
その愛機に乗ってだ。そうしてだった。
そのうえでソ連軍の戦闘機隊に突っ込む。前からだ。
一気に攻撃射程に入りだ。機関砲のボタンを押した。
そのうえで彼等の中を一気に抜ける。交差する形になった。
それでソ連機が何機か撃墜される。無論ドイツ機もだ。
「何機やられた!?」
「三機だ!」
ホルバインがハイデッケンに答える。彼等の後ろでだ。三機のメッサーシュミットが撃墜されていた。何とかパラシュートは開いていた。
「三機やられた」
「ちっ、誰だ」
「調べるのは後だ!」
ハイデッケンの言葉が強い。彼等は敵の中を突き抜けてだ。そのうえで反転してだ。再び攻撃に移ろうとしていた。その中でのやり取りだった。
「今はな」
「そうだな。今はな」
「戦うんだ、そして生きるんだ」
こう話して
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