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クルスニク・オーケストラ
最終楽章 祝福
終-2小節
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 今、こいつは入れると言った。言ったよな!? やった、これで!

 プルートが剣で差した床に穴が開いた。一見すると大きな黒いシミとしか思えない穴。

『ただし行けるんは一人だけや。1対1。一人連れ戻すんに3人で行くんは反則やさかいな』

 ジゼルを迎えに行けるのは、俺とリドウとヴェルの内一人。それなら――

「考えるまでもないだろ」

 ドカッ

 なっ…!? おいリドウ、今、背中蹴ったの…!

「行ってらっしゃーい」
「リドウさん、何てことを! ――ユリウスさん、ユリウスさーん! 大丈夫ですかー!?」
「ま、何とかするでしょ、アイツなら」





 落ちる、落ちる、落ちる。暗い暗い奈落の底へ。

 あいつ、手加減なしに背中のど真ん中蹴りやがったっ。帰ったら同じ分だけ蹴り返してやる。

 ぼんやり白い地面が見えてきた。さすがに落ちっ放しということはないわけか。
 っと。接地成功。

 白い夜の砂漠。喩えるならそんな感じの場所だ。
 どこまでも広くて、果てがなくて、右も左も分からない。――これが、冥府。

 もう俺たちは骸殻を使えない。《審判》が終わった日から、どの骸殻能力者が何度時計に呼びかけても、誰も作動させられなくなった。俺もリドウも然り。
 だから、もしこの冥府で何かしらの魔物が出るなら、俺自身の剣だけで道を切り開かなければいけない。

「――上等だ」

 クラウンの称号は骸殻で勝ち取ったわけじゃないってことを教えてやる。
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