最終楽章 祝福
終-1小節
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とんかいな』
「「「……は?」」」
何だ今のしゃべり方。威厳も畏怖もへったくれもなかったぞ。
『何やねん。鳩に豆鉄砲食ろたような顔しよってからに。って鳩が豆鉄砲打てるかーい! ってツッコむとこやろそこは!』
「なあユリウス。その新聞記者のガキの言うこと、本当に正しかったのか?」
「……自信がなくなってきた」
とはいえ、しゃべり方だけで判断するのも早計だ。ほんっとーに自信はないんだが、一応聞いておこう。
「お前が冥界の王プルートか」
『せや。よう来たなぁ、クルスニクの末裔。見とったで、自分らの《審判》の一部始終。何百年かぶりに最高に盛り上がったわ。おおきにな〜』
「……、冥界にはカナンの地に行かなかった魂が辿り着くと聞いたが、これは事実か?」
『よう勉強してきたみたいやな。確かにカナンの地で循環に乗らんかった魂は、ウチで貰うてリサイクルしとる』
リサイクル? 魂を?
意味が分からなくてリドウやヴェルと顔を見合わせた。これには二人も訝しげな表情だ。
『簡単に言うとやな。魂のエネルギーは最大量が決まっとんねん。分史世界が1コやろうが100コやろうが均等に配分されるし、増えへん』
「分史世界が増えることで魂のエネルギーは拡散し、正史世界の魂は枯渇する、ですね」
ヴェルがエージェントに説明する時用の模範解答で、どうにか話題に参加しようとしてる。
『ちゅーんが人間と精霊の認識』
「違うのですか?」
『ちゃうんやなこれが。よお考えてや。そもそもその「魂のエネルギー」っちゅうの、どこのどいつが拵えたもんや?』
「オリジンだろ。精霊の王ってくらいだし」
『ブッブーっ』
リドウが青筋立ててメスで斬りかかろうとしたんで、俺とヴェルで両脇から止めた。よせって。せっかく快方に向かってる内臓がヤバイことになるぞ。
『オリジンは自分で力使うことはあらへん。アレが自発的にやっとんのは魂の循環と瘴気の封印くらいや。正解はな、まんま「魂」や』
「魂、ですか」
『何万年とかけて輪廻を巡って、もーこれ以上はアカン! っちゅーくらいに摩耗した、魂の燃えカス。もう産まれられへんほど細かなった魂を、カナンの地から冥界にぽーんと落とすねん。それが魂の「エネルギー」ちゅうヤツや』
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