第十四章 水都市の聖女
第五話 悪魔の門
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成功したのは良いんだけど、残念ながら異世界の魔力がこの世界に馴染むまで時間が掛かるようで、ぼくたちが魔力を自由に扱えるにはまだまだ時間が掛かりそうなんだけどね」
凄いだろっ! と傍から見ても分かるぐらい得意げに胸を逸らすブリミルだったが、士郎はそれどころではなかった。
ルイズに召喚されてから今までに見たもの、聞いたもの、感じたものが次々と士郎の脳裏を目まぐるしい勢いで過ぎっていたのだから。これまでに時折感じていた違和感が、ブリミルの言葉を切っ掛けに次々と繋がり一つのパズルを完成させた。
―――召喚され、目覚めた時に感じた大気に満ちる魔力に対する違和感。
―――風石や火石等、魔力が結晶となったとでも言うような有り得ない物質―――そう、まるで許容量から溢れた余ったモノを押し固めたかのような……。
―――ある時代以降が記載されていない歴史書。
―――エルフが口にした“抑止力”という言葉。
―――古い昔話に語られる何処かで聞いたことのある怪物の物語。
まさか、と言う思いはあったが、それこそ『まさか』と考え否定してきた。
しかし、それももう出来ない。
もはや明白。
否定する事は出来ない。
だが、それでもやはり確かめずにはいられない。
何故ならば、もしこれが真実であるならば―――
「ま、て……待て、お前は、何を言っているんだ」
「え? あはは。やっぱり信じられない? 他の世界から魔力を持ってくるなんて。ま、普通ならそうだよね。その肝心の魔法も、あの場所じゃなければ成功していなかっただろうしね」
震えそうになる声を必死に押さえ込みながら、士郎はブリミルに再度問い掛ける。ブリミルは士郎の内心の動揺に欠片も気付かず、能天気なまでの様子でそれに答えた。
「あの、場所?」
「いや〜、子供の頃に親から聞いた時は半信半疑だったんだけど。その“門”を開いた場所っていうのは、ぼくたち“マギ族”がやって来たっていう伝説が残る土地なんだ。そこは何ていうか色々と不安定な土地でね。ああ、さっき言った“ヴァリヤーグ”たちが壊して回っている魔力が集中する土地と同じだよ。でもやっぱり、結構色んなところを見て回ってきたけど、あそこが一番凄いね。しかしぼくの魔法を考えてみると、あの伝説もデタラメとは言えないかもしれないね。もしかしたら、元々ぼくたち“マギ族”は、他の世界からやってきたのかも」
「……一つ、聞きたい」
笑いながら御高説をのたまうブリミルを冷え切った目で見ながら、士郎は機械のような冷徹な声を上げた。
「ん、何だい?」
「その開いた“門”は、今、どうなっている?」
「門かい? そうだね。今も開いてい
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