第十四章 水都市の聖女
第五話 悪魔の門
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力がもったあれば、周囲にある魔力を操る精神力だけあればいいだけだから、他の種族の有利に立てるんだけどって、あの頃は良く考えていたなぁ〜……まあ、だからこそぼくが族長になった時、あれを開いたんだけどね」
アレヲヒライタ―――何気なく、本当に何でもないことのようにブリミルが口にした言葉。だが、その言葉の軽さとは裏腹に、空恐ろしい響きとなって士郎の耳だけでなく背筋をも震わせた。
何故? どうして? 理由も分からない焦燥を感じながら、ジワリと粘ついた冷や汗を滲み出しながら士郎はひりつく喉を震わせた。
「―――開いたとは……一体、何を―――」
「門さっ!」
士郎の質問を待ってたばかりに喜色を浮かべたブリミルが誇らしげに両腕を勢いよく開いた。
「ぼくは普通の“マギ族”とは違った“変わった系統”の使い手なんだけどね。普通の“マギ族”が使う火とか水とかは全然操れないんだけど、代わりに色々と出来だんだ。だから子供の頃のぼくは、この変わった系統で何が出来るのか調べてたんだよ。で、ある時偶然―――ふふ、多分信じてくれないだろうけど、別の世界へと繋げる魔法を見つけたんだっ!」
「―――ッ!?」
その時―――士郎が感じていた不吉な予感は頂点へと達した。
「それを知った時、ぼくは思ったんだっ!! ぼくたち“マギ族”が持つ他の種族には無い力である“魔法”だけど、世界に満ちる魔力は利用するのには少なくて、ぼくたち個人の魔力量もそう何度も使えるほど多くはない。でも、世界に満ちる魔力をもっと増やす事が出来れば、それを操る魔力さえあれば強力な魔法も連発する事が可能になる。じゃあ、どうやって世界に満ちる魔力を増やすのか? 世界に満ちる魔力も絶対量はキチンと決まっている。それこそ魔法のように増やしたり減らしたりするなんてことは出来ない。ならどうする? どうすればいい?」
眉根を寄せ腕を組み首を傾げ、見るからに『困っています』という姿を見せたブリミルだったが、直ぐにニヤリと口元を歪めるとビシッと士郎に指を突きつけ誇らしげに胸を張ってその言葉を口にした。
「ぼくはこう思ったねっ!! ―――他にあるところから持ってくればいいってッ!!」
「―――まさ、か。お前は―――ッ?!」
もう疑いようがない―――つまり、この男―――未来“始祖”と呼ばれるようになる男は、こともあろうに最悪の方法を取ったのだ。
自分たちの種族―――“マギ族”が自由に魔法が使うことが出来るようにするため、異世界から魔力を奪う。
それが一体どういった事態を引き起こすのか考えもせず―――最悪を招き寄せる結果になるとも知らず……。
「で、その魔法が
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