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剣の丘に花は咲く 
第十四章 水都市の聖女
第五話 悪魔の門
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悪影響は何かあるはずだ。
 そこから“ヴァリヤーグ”の狙いが分かるかもしれない。士郎の質問に、ブリミルは“ヴァリヤーグ”が現れてからの事を思い出し……。 

「う〜ん? いや、別にこれと言った事は……あっ、でも、そうだね。敢えて言うなら……な〜んか嫌な感じがするんだよね」
「嫌な感じ?」

 士郎の質問に首を横に振ろうとしたブリミルだったが、ハタと何かを思い出したかのように軽く目を見開くと、直ぐに腹の底から出すような低い唸り声を上げ始めた。士郎が続きを促すと、ブリミルは宙に手を伸ばすとぐるぐると鍋をかき混ぜるように腕を回し始めた。

「まるで滅茶苦茶に材料を入れて煮込んだスープみたいに魔力が溢れんばかりに満ちているんだけど、何かこう、何ていうか―――そうっ!? 濁っているんだよ!」
「濁っている?」
「そうなんだ。まるであの時(・・・)みたいに、色んなものがぐちゃぐちゃに混ざった底なしの魔力が満ちた……はぁ、でもこんなに魔力が溢れかえるんだったら、無理してあんな()を開けるんじゃなかったよ」

 ため息と共に肩を大きく落としたブリミルは、過去を振り返るように頭上を見上げると否定するように顔を横に振った。その時、誰に言うでもなく自分に言い聞かせるようなブリミルの自嘲の言葉を耳にした時、士郎は反射的に問い掛けていた。

「―――門を開ける、だと? それは一体どう言う意味だ?」

 先程から感じる寒気にも似た嫌な予感のせいか、ブリミルに掛ける声は苛立ちが混じった鋭いものとなっていた。それは、鈍感とも言えるブリミルも気付く程度のものであった。ブリミルは若干怯えながらも、小さく頭を上下させると説明を始めた。

「え? あ、ああ。そうだね。丁度今から一年ぐらい前になるかな? まだ“ヴァリヤーグ”が現れる前になるんだけど。ちょっと話は変わるんだけど、実はぼくたち一族は、サーシャたちエルフや他の種族に比べると随分と弱い種族でね。“マギ族”っていうんだけど、数も少なければ力も弱い。唯一他の種族に勝るだろう魔法は、個人の資質に頼ってしまうものだし。何よりいくら強力な魔法が使えても、個人の魔力の保有量には限界があるから、ちょっと強力な魔法なんて連発するなんて不可能で、もうどうにもならないよ」
 
 お手上げとばかりに、ブリミルは掌を上に向けて肩を竦めて見せる。

「……連発、できない?」

 別段おかしな事ではない。
 ブリミルの言葉の何かが引っかかり、士郎は怪訝な顔を浮かべた。
 キュルケたちが強力な魔法を連発する事は出来ない事は確かなので、何もおかしなことは言ってはいない―――その筈なのだが、何かが引っかかった。
 士郎がその何か(・・)が何か考え込んでいる間も、ブリミルの話は続く。

「せめて世界に満ちる魔
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