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剣の丘に花は咲く 
第十四章 水都市の聖女
第五話 悪魔の門
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何時からと言えば大体一年ぐらい前かな? 何処からと言っても奴らは世界中何処へでも現れているから……ちょっとそれは分からないね。目的も、国を滅ぼし……虐殺をしたかと思えば、小さな村を救ったり、小さな女の子を助けたり……話が通じない奴も、通じる奴らもいる……悪魔の数だけやることなすこと全部バラバラ……全く意味不明だよ。でも、そう、だね。一つ、もしかしたら、だけど、最近分かったことがあるよ」
「分かってきたこと? それは?」

 何処か凡庸とした顔に一瞬鋭いモノを走らせたブリミルは、自身の仮説を確かめるように一つ一つ区切るように話し始めた。

「えっと、まだ確実とは言えないんだけど……やることなすこと全部バラバラな悪魔たちだけど……本当に一つだけ共通する事があるんだ」
「共通すること?」
「……これは、奴らから逃げるためあちこち転々としてきたからこそ分かったことなんだけど……どうも奴らは魔力の集中地を壊しているようなんだ」
「魔力の……集中地?」
「うん。えっと、あまり知られていない事なんだけど。世界には所々に魔力が集中する場所があるんだ。ぼくの一族は長い間世界中を転々としててね。そういう場所をよく見てきたから気付いたんだけど……どうも奴らはそこを破壊しているみたいなんだ」

 一瞬―――ゾクリと、士郎の背中が泡立つ。

「…………」

 魔力が集中する場所……士郎はそういう土地がどういったものなのか知っていた。
 当たり前だ。いくら自分が三流の魔術師であっても、そのような土地がどういったものなのか分からないはずがない。故郷である土地(冬木)もそういった場所であるし、何より自分の魔術の師匠がそのような土地の管理者でもあるのだ。
 ―――だからこそ、ブリミルが口にした言葉に予知にも似た不吉な感覚を覚えた。
 
 “霊地”
 
 “龍穴”

 そこは、大地に流れる魔力が集中する地であり、そのため他にはない歪みが生まれる場所。
 言ってしまえば、世界を巡る魔力という名の水を調整するためのダムのようなものだ。

 だが、何故霊地を破壊する?

 一体何のため?
 


「調べてみたら“ヴァリヤーグ”たちが現れる場所が、全部その魔力の集中地の近くなんだよ。それに、さっき言った滅ぼされた村や国があった場所は、どうもその魔力の集中地の上にあってね。つまり、つまりぼくが思うに“ヴァリヤーグ”たちの目的は魔力の集中地の破壊であって、村や国が滅ぼされたのは魔力の集中地が破壊されたとばっちりだったり、その妨害をしたからなんだと思うんだ。実際、その証拠に魔力の集中地から離れた場所にある国は素通りされたりしてるからね」
「……その“魔力の集中地”が破壊された後、何か異変は起きていないか?」

 霊地が破壊された事による
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