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剣の丘に花は咲く 
第十四章 水都市の聖女
第五話 悪魔の門
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名前だね」
「……だろうな。で、こちらも少し訪ねたいことがあるんだが……そろそろいいか?」
「え? う〜ん。ま、別に大丈夫だけど……何を聞きたいんだい?」

 再度話しを遮られ“いらぁっ”、としながらもぐっと堪え再三尋ねると、やっと許可を貰えほっとしながら腕を組み首を捻ねるブリミルに対し、士郎は確認の為の質問をする。
 何の確認か?
 ここは何処だ?
 俺はどうしてここに?
 サーシャはどうなっている?
 確かにそれも大事だが、まず確認しておく必要があるのは……この男が真に“ブリミル教のブリミル”なのかという事だ。

「……君は“ブリミル教”と言うものを知っているか?」
「へ? “ブリミル教”だって? いや〜初めて聞いたね。ここ数年色んな土地を回ってきたけど、そんなのは聞いた覚えもないよ。“ブリミル教”だなんて、一度でも耳にすれば絶対

に忘れないと思うしね。何せぼくの名前と同じなんだからっ」

 口に手を当て『くふふ』と含み笑いをする姿を見て、士郎は更に確信を含めながら情報収集に努める。

「それなら―――“ハルケギニア”というものに聞き覚えは?」
「はる、ハルケギニア……? う〜ん、いや、ちょっとそれも聞き覚えはないね」

 その言葉に、ここが過去である可能性が更に高まる
 普通は過去にいるなどとは考えもしないだろう。まだ何らかの幻術に掛かっていると考えるだろうが―――幸か不幸かこういった事(有り得ない状況)には慣れている。
 ならば、どれだけ非常識な事であっても、周囲の状況から導き出された結果がどれだけ有り得なくとも正しい事は多々あるのだ。
 どれだけ理不尽だと叫んだとしても、そう……現実は色々と非常なのだ……。
 士郎が逃避できない理不尽という名の現実を前に思わず崩れ落ちそうになるのを堪えていると、またしても好奇心旺盛な小学校低学年の男児のようにブリミルが顔をずいっと寄せてきた。

「で、で、何時になったら君の主人と合わせてくれるんだい? も、もうぼく興奮しすぎて鼻血を吹きそうだよっ!?」

 元の世界で異性にやれば確実にセクハラと言うか痴漢で有罪判決を得られそうな勢いで、興奮で上気しながら士郎に迫るブリミル。思わず“グー”で迫ってくる顔面を殴り飛ばしたい誘惑を士郎は押し殺す。

 “ガンダールヴ”のルーンを持つ使い魔。
 “変わった系統”とやらの使い手であり、“ブリミル”を名乗るメイジ。
 更に“ブリミル教”どころか“ハルケギニア”も知らないと言う。
 これだけ揃えられれば、誰もがある考えに至るだろう。それは勿論士郎であっても。しかし、自分の仮説に確証を持ってはいるが、士郎はそれを口にすることはない。
 当たり前だ。
 何処の誰がいきなり『私は未来からやって来ました』等といっ
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