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乱世の確率事象改変
道化師が繋ぐモノ
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引き裂いた。

「クク……忘れてたまるか……お前のこと。俺も絶対に忘れてやんねぇよ、夕」
「う、ん……」

 剣を高く持ち上げる。赤の少女の大切に向けて、後は振り下ろすだけ。

「……乱世に、華を……世に……平穏を」

 剣が胸に刺さる直前に、彼女の唇が……ありがとう、と動いた。
 ズブリ、と肉を貫く感触が掌に伝わり、一際目を見開いた夕は、目をゆっくりと瞑って安らかな表情に直ぐ変わった。

「……どう……なた……せか……すように」

 掠れた音は聞き取れず、一つ吹いた風が持ち去って行った。
 痛いくらいの静寂は温もりを齎さず、赤の少女はカタカタと震える。

 大きな、大きな声が張り上がった。絶望に暮れる少女が一人、次第に消えていく温もりに縋るように抱きつき泣き叫ぶ。

 ズキリ、と胸と頭が痛んだ。
 空虚な穴が、心に空いた。

 俺は救えなかった。誰も救えなかった。

 黒麒麟。お前だったら……こいつらを救えたかよ……



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