道化師が繋ぐモノ
[15/15]
[8]前話 [9]前 最初 [1]後書き [2]次話
引き裂いた。
「クク……忘れてたまるか……お前のこと。俺も絶対に忘れてやんねぇよ、夕」
「う、ん……」
剣を高く持ち上げる。赤の少女の大切に向けて、後は振り下ろすだけ。
「……乱世に、華を……世に……平穏を」
剣が胸に刺さる直前に、彼女の唇が……ありがとう、と動いた。
ズブリ、と肉を貫く感触が掌に伝わり、一際目を見開いた夕は、目をゆっくりと瞑って安らかな表情に直ぐ変わった。
「……どう……なた……せか……すように」
掠れた音は聞き取れず、一つ吹いた風が持ち去って行った。
痛いくらいの静寂は温もりを齎さず、赤の少女はカタカタと震える。
大きな、大きな声が張り上がった。絶望に暮れる少女が一人、次第に消えていく温もりに縋るように抱きつき泣き叫ぶ。
ズキリ、と胸と頭が痛んだ。
空虚な穴が、心に空いた。
俺は救えなかった。誰も救えなかった。
黒麒麟。お前だったら……こいつらを救えたかよ……
[8]前話 [9]前 最初 [1]後書き [2]次話
※小説と話の評価する場合はログインしてください。
[5]違反報告を行う
[6]しおりを挿む
[7]小説案内ページ
[0]目次に戻る
TOPに戻る
暁 〜小説投稿サイト〜
利用規約/プライバシーポリシー
利用マニュアル/ヘルプ/ガイドライン
お問い合わせ
2024 肥前のポチ