第二章 戦火の亡霊船
3話 西へ…(東名高速、新東名高速編)
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くん。富士山に登らない?」
意識を取り戻した香織が僕に提案してきた。確かに彼女の性格から考えて、そう言うだろうことは予想できないことでは無かった。かくいう僕もその考えに賛成しそうになったのだが…。
「それはダメだな。」
「なんでよ!」
僕はその意見を切り捨てた。もちろん理由あってのことである。
「もし行ったとして戦いになったらどうする?というか間違いなく戦いになるだろ?そうしたら僕らはあいつに勝てるのか?」
「ん…大丈夫でしょ…ううん。無理だと思う。」
一度は無理やりにでも意見を押し通そうとした彼女であったが、そこはしっかり冷静なところを働かせてくれた。いくら僕らが強くなったとはいえ、実際に戦ったことがあるのはその辺にいる見たことも考えたこともないモンスターだけなのだ。
何もわからないからこそ、伝説に登場してくるほどの敵であれば強いと考えても間違いは無い。
なにより山に登れるだけの装備も無いのである。自分たちの能力が上がったからといって、なれない登山で消耗した末にそこを龍に狙われ死んでしまったら目も当てられない。僕らは慎重になるべきなのだ。
「あれ、意外と冷静なんだな。」
「だって楓くんの命もかかってるんだもん。」
学校を解放しての一ヶ月で思ったことだが、香織は非常に冷静である。たまに感情的になることもあるが、しっかりと説明すればすぐに考えて冷静な判断を下すことができる。ただ冷静なだけでないからこそむしろ親しみやすかった。
「でももうちょっと見させてね?」
「それくらいなら全然。」
僕はその言葉とともにエンジンを止め、香織と共に外へと出る。そして意図しない休憩となったのであった。
龍の観察を終え、再び車を進めている。
「そこ右ね。」
「はいはい。」
そんな感じで右手に富士山を見ながら高速を進んでいると、ここで分かれ道へと差し掛かった。
御殿場ジャンクション。ここから東名高速を離れ、新東名高速へと入る。ここまで約三時間。現在の時刻は十一時七分を指している。
「次のサーピスエリアで昼にしようか。」
「うん。えっとー……駿河湾沼津サービスエリアかな?あと二十分くらいでつくと思う。」
「了解。じゃあ近づいてきたら教えて。」
「任せて!」
わざわざサービスエリアで止まるのは何故かといえば、それはなんとなくと言うしか無い。もしかしたら人がいるかもしれないが、それならそのまま車を止めずに去ることにしている。
そうして二十分が過ぎた頃、香織から声がかかった。それと同時に僕の視界にも案内の看板が見える。その看板に従い、僕らの車は駿河湾沼津サービスエリアへと入っていった。
人影はもちろん、
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