第八話
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てもそれほどの驚きはない。だが、今回の兎のように現実の動物を元にした敵ならば、物理攻撃も効果があるのではないか?それを確かめたいのだ。
「それじゃあ・・・行くぜ!」
ドン!と地面を蹴る。土が爆発したように弾き飛ばされ、葵の体は前方へと勢いよく射出された。彼は林から飛び出し、倒木と切り株だらけになってしまった場所に躍り出た。
『ギイイイイイイイイイイ!!!』
ようやく葵に気がついた敵は、赤い目をギョロリと向けて彼を睨みつけた。巨大な敵と睨み合う葵は、知らず知らずのうちに唾を飲み込む。両者は睨み合い・・・そして、始まった。
『ギ!』
その大木のような太い腕を、斜めから振り下ろす敵。鋭い爪が葵を襲う。
「甘い!」
だが、パッチで身体能力が向上した今の葵には、そんな攻撃は止まって見える。彼は一歩前に踏み出し、爪が通る場所の内側に潜り込んだ。そして、固く握り締めた拳を、その腕に叩きつける!
「ぶっ飛べ!!!」
『ギ!?』
ボン!
壁を叩いたようなくぐもった音を響かせて、敵の腕は大きく弾かれた。それに合わせて、敵の巨体が大きく浮き上がる。葵の余りのパワーに、耐え切れなかったのだ。
巨大兎は大きく目を見開いた。一体何故、こんな小さな生物に力負けするのか分からない、というように。そして、葵には容赦するつもりなど、全く存在しない。
「まだまだ行くぞ!」
巨大兎の巨体に両手でのパンチの連打を入れる。自分の力を確かめるように、一秒ずつギアを上げていく。一秒間に六十、七十、八十、九十・・・そして百。たった五秒間で、敵は四百発の拳を叩き込まれる。
(どうやら、今の段階では百が限界か)
それも、余り力を込められない攻撃だ。力を込めると、秒間五十ほどに下がるだろう。・・・だが、それでも十分すぎる威力だった。その巨体を完全に浮き上がらせ、そして吹き飛んだ巨大兎は、未だ倒れず残っていた木々を粉々に粉砕しながら転がり、二十メートル以上離れた場所でようやく止まった。
「・・・・・・。」
そしてその様子を、静かに観察する葵。一歩も動かず、ただジッと巨大兎の様子を見ていた。
『ギ、ギイイイイ・・・』
巨大兎の体はボロボロだった。体からは緑色の血液が吹き出て、両手の爪はその殆どが折れてしまっている。転がった拍子に自らをも傷つけたのか、切り裂かれたような傷もあった。
「・・・・・・どうやら、即座に回復はしないみたいだな。」
よくよく見れば、少しずつ傷が塞がってきてはいるが、それだけ。あの程度の修復速度なら、物理攻撃も効果があると見ていいだろう。しっかりとダメージを与えている。
「・・・なら、次だ。」
確かめたいことの二つ目。自分の
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