第一幕その四
[8]前話 [2]次話
「お嫁さんだけだね」
「いや、その話は止めてくれるかな」
お嫁さんの話題にはです、先生は苦笑いで返しました。
「僕はそちらはね」
「いないんだ」
「確かに何時かはって思ってるよ」
「それでもなんだ」
「うん、そちらはね」
どうしてもというのです。
「縁がないからね」
「けれど先生は女生徒の人達にもね」
「人気があるのかな」
「あるよ」
実はというのです。
「先生はね」
「そうだったんだ」
「物凄く優しくて公平でね」
王子は何故先生が学園の女生徒達に人気があるのかお話しました。
「しかもセクハラしないから」
「セクハラしないのは当然だと思うけれど」
「それはそうだけれどね」
それでもだというのです。
「先生は紳士だからね、誰にでも優しくて温厚な」
「それでなんだ」
「先生の性格を見てね」
女生徒達もというのです。
「好きなんだよ」
「そうなんだ」
「相当馬鹿な人でもない限りその人の性格を見るよ」
誰でもです。
「外見だけじゃなくてね」
「僕の性格もまた」
「そう、だからね」
「女の子達は僕のことを好きでいてくれてるんだ」
「それはいいことだね」
「まあ先生はね」
ここでまた言う王子でした。
「女の子にも人気があることは確かだよ」
「そうなんだ」
「先生確かに人気がありますよ」
トミーも先生に言います。
「女性の職員さん達にも先生達にも」
「何時の間に人気者になっていたのかな、僕は」
「先生が来られて暫くしてからですね」
この八条学園に、というのです。
「先生がどういった方か知られる様になって」
「そうしてなんだ」
「はい、先生がどういった方か知られる様になって」
「僕の気付かないうちに」
「どうも人間ってあれですね」
ここでこんなことも言うトミーでした。
「気付かれないうちに好かれたり嫌われたり」
「その内面を見られて」
「そうなるみたいですね」
こう言うのでした、先生に。
「やっぱり人って見てるんですよ」
「だから僕も女の子達に人気があるんだ」
「丁渡先生独身だしね」
王子が笑って先生にこのことも言いました。
「いいお相手を見付けようよ」
「そうすべきかな」
「絶対にね、もういい歳だし」
「いや、いい歳どころか」
自分で笑って言う先生でした、このことは。
[8]前話 [2]次話
※小説と話の評価する場合はログインしてください。
[5]違反報告を行う
[6]しおりを挿む
[7]小説案内ページ
[0]目次に戻る
TOPに戻る
暁 〜小説投稿サイト〜
利用規約/プライバシーポリシー
利用マニュアル/ヘルプ/ガイドライン
お問い合わせ
2024 肥前のポチ