第一幕その一
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ドリトル先生と学園の動物達
第一幕 園長さんのお願い
ドリトル先生が日本に来てもうかなり経ちました、そのことをご自身の研究室においてお茶を飲みながらしみじみとしてです、王子とトミーに言うのでした。
「最初はどうなるかって思ったけれど」
「それでもだよね」
「今、ですよね」
「うん、日本に馴染めてきてね」
そしてというのです。
「美味しいものも沢山楽しんでいるし」
「日本が大好きになったんだね」
「もうずっとここにいたいよ」
王子にこうまで言うのでした。
「本当にそう思うよ」
「僕の提案はよかったみたいだね」
「そう思うよ、王子には感謝しているよ」
日本に来ることを勧めてくれてお仕事まで用意してくれた王子にです。
「お家まで用意してくれてね」
「そんなことはお安い御用だよ、何しろ先生だからね」
「僕だからなんだ」
「先生にはずっとお世話になってるから」
アフリカに行った時からです。
「あれ位は当然だよ」
「そう言ってくれるんだね」
「勿論だよ、けれど先生は最近ね」
「最近っていうと?」
「お医者さん、人間相手のそのお仕事ばかりだよね」
「ううん、京都で狐さんを看たりしたけれどね」
言われてみればでした、先生も日本のお抹茶を和菓子と一緒に楽しみながら王子に応えます。王子とトミーもお抹茶と和菓子を楽しんでいます。
「言われてみればね」
「獣医さんのお仕事はしていないよね」
「しかもお医者さんといってもね」
「先生だよね」
「うん、今の僕は教授だからね」
八条大学医学部のです。
「だからね」
「どうしてもだよね」
「うん、教授の仕事ばかりで」
「人を診ることも」
「なくなっているよ」
先生は王子に言われて自分でもこのことを思い出しました。
「本当にね」
「そのことが寂しいのかな」
「そうだね、僕はイギリスでは病院を持っていたからね」
「あそこにはもう別のお医者さんが入ったよ」
「ああ、そうなんだ」
「そうなったんだ」
「ううん、我が家は今は他の人のお家なんだね」
このことを知って思うところも出た先生でした。
「そうなんだね」
「それを言えば先生の今のお家もだよ」
「前は他の人の家だったんだね」
「そうだったんだよ」
「そうして家も巡っていくんだね」
先生はこのことにも感慨を覚えるのでした。
「そうなんだね」
「そうだね、まあとにかく今の先生はね」
「人の病気を診てはおられないですね」
トミーも言ってきました。
「あくまで教授で」
「ここの大学の先生は往診はしないからね」
あくまで大学の先生に徹するのです。
「八条病院はまた別だからね」
「だか
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