SAO編−白百合の刃−
SAO20-ドウセツ
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分へ皮肉気味に吐きながらも虚しそうだった。
「そんな悲しいこと……」
「言わないでよっていいたいの?」
「……うん」
ドウセツはベッドに乗り、身を守るように三角座りをする。
最初はドウセツがその座り方を見た時、どこか弱々しく感じられた。それは当たっていた。本当に弱々しくなっていた。ドウセツがその座り方をするのは……弱々しくなった自分を守るイメージを表したものだろう。
「…………逃げるための家って、逃げる時はそうして身を丸めて過ごしているの?」
「そう、ね……何もない私にとっては明日を迎えるための物があれば十分。あとはないも必要ない。いや、何もない私には何もないことが心地良いから家具など必要ないわ……」
微かに弱々しい言葉は続いた。
「独りは心地良いわ。でも、悔しいことに独りでいることは好きになれない。独りは寂しい……」
私はドウセツが言うことはわかっているつもりだ。独りが好きになれないのは当たり前なのよ。心地よくても寂しい気持ちの方が勝ってしまうもの。
昔、サチ達を見殺してから私は頼れるべき存在の兄にも離れて、独り孤独になって行動していた。独りに慣れたつもり、いや独りの方が心地良くならなければいけなかった。サチ達を見殺しにして、兄の傷つけた私は温もりに触れることなんて許さない、独りになることが私は相応しいと思っていたけど……結局、心に穴があいたようになんか虚しくなって、そしたら温もりが恋しくなってしまい、孤独に耐えられなかった。独りは寂しいって思ってしまった。だから、ドウセツの気持ちは痛いほどわかった。
ドウセツが体制を崩さず、次に発した言葉は意外なことで、
「貴女が昔話した血聖騎士団の一員は…………私よ」
「…………うん」
実は、それほど意外ではないことだった。
なんとなくだけど、ドウセツと私を救ってくれた血聖騎士団の人と同一人物だと思っていた。口が悪くて、氷のように冷たいけど、温もりがある人、私が知っている限りではドウセツしかいなかった。
だから……そんなには驚くことはなかった。
あのクリスマスの日、私の声を拾い、助けてくれたのは、血聖騎士団だったドウセツだ。
「お礼言ってなかったよ。あの時、私がドウセツに助けられなかったら……今、ここにはいないと思うんだ。だから」
「言わないで」
「えっ?」
ありがとうの言葉をドウセツに言う前に止められた。いや、ドウセツは拒んだ。
「私……本当は貴女に言ったことを言えるような人じゃない。貴方が知っている私なんて、所詮、強い武器と強い防具を染みつけた人格でしかない。だから、本当は貴女に言う理由も必要も資格もない。お礼も言われる程……私は貴女を助けた気なんでない……」
「そんな……」
そんなことはない。
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