SAO編−白百合の刃−
SAO20-ドウセツ
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るからな」
ヒースクリフの言葉にわたしは思わず唇が緩んでしまった。
「普段もそう言ってくれると、すっごく嬉しいんだけどな〜……ねぇ、もう一度言ってくれる?」
「からかっているつもりなら、駄目だからな」
「ちぇ……いけず」
普段そんなに言わないヒースクリフだからこそ、もっと言ってほしいところがあるのにな……なんかもったいない。でも、普段言わないことだからこそ、その言葉に価値が磨き上がる。ヒースクリフに励まされて、元気が出た。
でも……そうね。ちょっと疲れた、かな?
「あ、そうだ。ヒースクリフ」
「なんだい?」
「近いうちに、わたしとデートしない?」
「どうしてかな?」
「ちょっと疲れたから気分展開したいの。それにほら、最近休んでないでしょう? 丁度いい機会というのはおかしいけど、お互いにゆったりした時間をこのゲームの世界で暮らすのも悪くないわよ」
私がそう言うとヒースクリフは紅茶を優雅に飲み干し、少しだけ沈黙してから答えを出した。
「考えとく」
「一週間以内に答えを出さなければ強制的にデート。忘れたはなし」
「強引だな」
「強引ですよ」
わたしが微笑むと「そうだな」っと、悟ったように微笑み返した。
「では、このへんで失礼するよ」
「まともらしい会話してないけど、いいの?」
ティーカップを渡すと涼しげな表情で口にした。
「イリ―ナ君の声が聞きたかったから、これで十分だ」
「それって聞き飽きたって言うこと?」
「そうは言ってないだろ。それとも君はもっと私と話したいのか?」
「デートしてくれるなら、去っていいですよ」
わたしが意地悪なことを言うと、ヒースクリフは冷静に対処し、表情が少しだけ緩み、微笑した。
「では、デートのことは前向きに考えておく」
「ちゃんと考えてね。お休みなさい」
「お休み」
ヒースクリフが去っても、わたしはしばらくこの部屋で紅茶を飲みながら月を見上げていた。
現在は七十五層、残り十五層で約六千人のプレイヤーデスゲームから解放される。だけど層が増える度に難易度が高くなっている、ボス部屋の変化も見受けられたし、いつかは全ての層が安全になくなる可能性だってなくはない。そうなればわたしも教育だけではなく、自ら戦場へ出なければならなくなる。『剛姫』として振い皆に明日の希望を与えなければならないけど……。
それが持つのはわたしの予想だと、…………二十層で限界かもしれない。
あらゆる可能性と未来、明日への希望など、あらゆる未来図のことを考え尽くしてから、
「まぁ、なんとかなるかな……」
そう呟き、頭の中を空っぽにして一時の安らぎであるご褒美の紅茶を口に入れた。
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