SAO編−白百合の刃−
SAO20-ドウセツ
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カは深い傷痕を残すだけじゃなくて、自分自身を否定にするくらいに後悔をしてしまった。それだけではなく、キリカは自分が犯した罪の重さに耐えきれずに破滅願望を抱き、理由をつけられた死を求めていた。
当時、『白い死神』と言う名を与えられたキリカは、周囲から恐怖の印象を持たれていたけど、一番恐怖に怯えていたのはまぎれもなく、キリカ自身だった。キリカは優しいから、余計な物までも、自分のせいにして引き受けるような人だから、余計なものまでも抱きかかえてしまう悪い癖があるからキリカはずっと苦しんでいた。
クリスマス以降のキリカは、口が悪くてガキっぽい印象は見受けられないが、犯してしまった事実に向き合いながらも誰にでも親しめるような明るさとお人好しの性格でソロとして活躍するようになった。ただ、前までの反動のせいか、割と自由にやっていたらしい。しばらくはアスナと相性悪く、デュエルになったこともあったと聞いている。でもそのおかげか、アスナも変わることができた。
キリカは自分の命も優先しつつ、他の人達を優先しようとするお人好しであるけど、それはキリカが誰よりも優しくて、人の痛みも重さを分かち合えるような存在だったから。いつしか私は、キリカの傍にいたいと、陰の中で暮らしていた陽の恐怖を持ってしまっても陽を無意識に求めてしまった。それがわかったのはつい最近のこと。
「キリカ……」
数時間前の陽の温かさは、夜風で冷えてしまったと思えば、心が満たされて温かい……。
あぁ……そうか。私、キリカに救われたんだ。陽の温かさを私にもくれたんだ。それが嬉しいってことなのね。
「でも、キリカに救われても……泣き虫は変わらないのね……」
それでいい。
それでいいって、キリカは言ってくれた。
満たされているのに涙が出るのは、その涙は悲しみじゃない。心が満たされすぎて嬉し涙となった結晶なんだ。
「ありがとう」
私の中にある、恐怖から陽を照らしてくれて。
●
普段はほとんど一人で過ごす自分専用の部屋の窓から射しこむ月光と共に、自分の好きなアッサムに似た紅茶を飲むのが一息の安らぎ。今日も一日終えて、今日も生きたと言う自分への小さなご褒美を贅沢に味わっていた。今日はあれこれあったとしても、夜に紅茶を飲む習慣は中々抜け出せそうにもなかった。
窓から見える、人工のお月様を見上げて白いティーカップを口に運ぼうとした時だった。
「イリ―ナ君いるかね」
少し手を止めてしまうが、紅茶を飲んでから応答した。
「いますよ、どうぞ入って」
「失礼するよ」と、聞きなれた渋い声で入ってきたのはギルドの上司であり、ソードアート・オンラインで最強の騎士、ヒースクリフだった。
「珍しいね、貴方がこんな時間に訪れるなんて」
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