掃除屋が射抜く! 1
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彼が虎型の危険種を運べるようにとロープでくくりつけていると後ろの方から誰かが彼に気づかれまいとそろりそろりと背後から近づいていく。
しかし、背後から近づいていく人物は次の瞬間には宙を見ていた。
「あ、れ?」
思わず呆気ない一言がでる。
意味がわからないと頭が混乱しているのがわかった。
「背後から近付くのであればもう少し気配を隠したらどうだ?セリア」
「…また、やられたの?私…」
銀髪の少女はこちらを見下ろしている緑色のマントを羽織った同い年ぐらいの少年を見上げていた。
体勢は彼女が下で彼が上の馬乗りになっている…
周りの目があれば危ない光景だったろうが生憎辺りには誰も居ず、しかし、見つかればただで済む状態でもなかった。
「奇襲だったのか?ならこれは三十点にも満たないな…気配は消しきれないし、見つかったあとに反撃も出来ずにやられるなど問題外だ…」
彼は呆れるように溜め息をし、彼女の鼻を摘まんで引っ張った。
「イタタタ!!痛い!アレク、痛いよ!」
「お仕置きだ。痛いのは当然」
そう言って彼は更に強く摘まみ引っ張る。
「ノーーン!!ノーズが、私のノーズが…モゲル!!」
バタバタと体をばたつかせ必死の痛いアピールと抵抗を行うが彼は聞く耳を持たず、鼻を摘まんだ手を離さなかった。
「俺が危険種だったとしたらこれだけじゃねぇぞ、首元に犬歯を突き立ててジワジワとお前が弱っていくのを堪能し、腸をかっさばき、半分意識のある状態で中身を食い絶命の瞬間までお前の全てを食い尽くす…」
冷たく静かに耳元で囁いた彼の声は彼女により一層の恐怖を与える。
「ひええーん!私が悪かった!許して!許して!許してよ!」
彼女は耐えきれなくなりウエンウエンと涙を流して許しを乞う。
流石にやり過ぎたと思い苦笑いで鼻を離してやった。
「ゆ、許して…くれるの?」
彼女はばつの悪そうな彼を見上げてそう問う。
「ああ…何より俺もオイタが過ぎた…悪かったな…」
「うん…怖かった…」
彼は彼女の上から立ち上がると彼女に手を差し伸べる。
「悪かったな…セリア」
「あとで大盛り肉ご飯」
そう言って彼女は差し伸べた手を握り立ち上がる。
「ああ、ちゃんと盛ってやるよ…」
「うん…約束」
銀髪の少女はニカッと笑顔で答えた。
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