第5話 颯馬「働きたくないでござる」
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だ」
「それはもう、ありがたく……」
わーい出世だ。やった……ぞ……?
良くねえよ!! もうやめるのになんで出世すんの!? あれ、越後統一して終わりじゃないの?
まさか関東に安寧秩序をもたらすとか目標増えて、誓いに上書きですかい?
くそ、俺が毘沙門天だとか持て囃したからか!?
その場しのぎの嘘が裏目に出たな……。
「まったく、あいつを副軍師にするなどと、何を考えておられるのだ。正気とはとても……」
誰だ、俺の陰口叩いてんの? お尻の穴を2つにしてやろうか? その気になれば男でもいけるぞ?
軍議が終わり、これからの方針を考えながら自室へ戻る。自室へ戻ると、鈴をならして謙信様のお心がどういう状態か確認する。越後を統一したのでもう憂いはないと思うが……。
越後を統一できれば憂いを払う事ができる。誓いを立てたその時、俺はそう思っていた。
チリン……。
鈴は低い音を鳴らす。
「こりゃだめだ」
軍議の時、謙信様は明るい顔をしておられたのでもしやと思ったが……越後統一だけでは駄目だったか……ならば、次はどうする? どうすれば曇った心は晴れる? 何が悲しいのだ? 原因さえわかればいいのだが……ああ、本当にめんどくさい事になったな。
あの時、かっこつけて誓いを立てるんじゃなかった。まあ、後悔しても遅い。仕事は仕事、しっかり果たそう。どんなに汚い手段であっても、どんなに自分の手が汚れようとも、虎千代がどんなに嫌がる手段でも……。
「はあ、寝よう。今日はもう働きたくねぇ」
布団の上に寝転がり、目を閉じた。
◇
「ぁ……」
崖が崩れて俺はそのまま、下へ落ちてしまう。
必死に手を振るが、それも虚しく空を掻くだけだった。
「…………」
絶望が胸に溢れ、だんだん意識が遠のいていく……。
ドンッ!!
「ぐあっ!?」
意識が遠のいたところを、岩に打ちつけられて無理やり呼び戻される。
ズザザザザッ!!
そのまま、山道に投げ出された。
「う、くっ…………」
激痛で体が悲鳴を上げる。
痛みの意識と共に遠のいて……体が楽になるのを感じて、安心してしまう。
だんだん意識が遠のいていった……。
「う……ぐ……」
「気が付いたか……?」
誰かの呼びかける声に、うっすらと目を開けた。
既にあたりは暗くて微かに聞こえてくるのは……焚火の音……?
「いっ……くうっ」
体を起こそうとするが激痛が走り、うめき声が漏れた。
「まだ寝ていた方が良い。一応手当はしたが、けっこうな怪我だった」
「う、うん」
痛みが落ち着くまでの間、自分に起こったことを振り返る。よく死
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