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【短編集】現実だってファンタジー
R.O.M -数字喰い虫- 1/4
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れた得点をそれ以上見たくもなくて乱暴に机に突っ込んだ。数学の時間は仮病を使って保健室で寝ることにした。保険医からは「本当に顔色が悪い」と心配されたが、昨日の夢を思い出したくもなくて適当に誤魔化した。

 すごく、嫌な気分だ。
 友達にも心配された。春歌は今日も休んでいるが、メールで友達から聞いたのか、体調を気遣うようなメールを送ってきた。とても嬉しかったが、メールの上部にある日にちや時間帯を表示する数字を見て再び吐き気を催し、返信はしなかった。
 スマホを見るのも嫌になり、電源を切って鞄に放り込む。

 体温計の数字が気持ち悪い。
 教科書のページ数の気味が悪い。
 時計の時間を表す数字が不快に思える。
 カレンダーが虫の巣窟に見える。
 全てを見たくなくて、布団を頭からかぶって授業が終わるのを待った。
 結局、精神を蝕む不快感は消えてはくれなかった。

 ふとノートの図形を思い出す。
 あれは、全てが数字で構成された塊だった。
 今、あれを見たら私はどうなってしまうのだろうか。
 想像するのも嫌なはずなのに意識はノートにばかり傾いていく自分が嫌になって、自分の頭を殴った。自分でも、何故あれを思い出そうとするのかが分からなかった。

「本当に大丈夫なの……?なんなら、担任に連絡して家まで送ってもいいのよ?」
「大丈夫……明日になれば、もういいから」
「そう……ならいいけど、明日も悪かったら病院に連れて行ってもらいなさいよ?」

 保険医を突っぱねるように鞄を抱え、美咲は帰路についた。
 明日になれば、夢の気持ち悪さなどきっと忘れる。
 だってあれは夢なんだもの。夢ならいつかは醒める筈だ。
 そうだ、美味しいものでも食べようか。春歌より一足先に評判のクレープ屋に行ってみよう。

 好きなものを考えると気分はよく、足は軽くなる。食べ物の記憶で機嫌がよくなるのは、きっと食べることが生物に必要不可欠だからだろう。だから美味しいものは何度も食べようとするし、逆に美味しくないものは忌避する。
 あるいは、昔の人類はそうして食べられるものと食べられない物を区分していたのかもしれない。

 店は直ぐに見つかった。近くには一足先にクレープを買った親子連れらしき二人が甘味を堪能していた。社会人らしくスーツを着た大人と、金髪の可愛らしい少女だ。不思議な組み合わせに思ったが、それよりクレープの魅力が勝った。
 前から買いたいものは決めていたので、メニューも見ずに店員に注文する。

「すいません!ベリーベリークレープひとつ!」
「ベリーベリークレープひとつですね?お会計、『N:/厭e#v'猷堊{』円になります」
「―――――」

 それは、耳元を羽虫が飛び回るような、キチキチと鳴くような、卵を破って何かが這い出
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