R.O.M -数字喰い虫- 1/4
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…!」
なのに、瞼が、首が、身体が金縛りにあったように動かなかった。
まるで私の潰したソレから双眸を逸らすなと脅迫されるように、見つめ続けろと責め立てられるかのように。
「いやっ……お、うげっ……えほっ、えほっ……!!」
腹の底から湧き上がる吐き気と喉のえずき。それでも尚、目線は逸らされない。
やがて、虫から漏れた極彩色の体液の中に何かが蠢きはじめる。
それは、芋虫だった。巨大な芋虫の体液や腹から這い出た、数えきれないほどの芋虫だった。
虫は、私の動かない足に地を這って集まり、靴を上り、肌の上を得体の知れない芋虫が大量に這いまわる。100や200では済まない数が、一斉に。まるで同胞を踏み潰した私を許さないとでも言うかのように、ひとつの意志を持っているように。
同時に、数で構成された世界の数字たちが、一斉に蠢いた。1が、2が、3が――芋虫へと変貌していく。
足が、芋虫に沈む。
壁が、芋虫となって崩れかかる。
目に、鼻に、耳に、口に、身をよじるように入り込んでくる芋虫、芋虫、芋虫、芋虫、いもむしいもむしいもむしいもむしいもおむしいもむしいもむしいもむしいもむしいもむしいもむしいもむしいもむしいもおむしいもむしいもむしいもむしいもむしいもむしいもむしいもむしいもむしいもおむしいもむしいもむしいもむしいもむしいもむしいもむしいもむしいもむしいもおむしいもむしいもむしいもむしいもむしいもむしいもむしいもむしいもむしいもおむしいもむしいもむしいもむしいもむし――
「イヤァァッ!!来ないで!来ない……あ、がげ……ごはッ、うぶぁぁぁぁぁッ!!」
全身を這いまわり、私に雪崩かかる芋虫たちに溺れ、息ができない。
虫が、虫が。虫、が。いやだ。なんで。たすけて。いやだ。嫌だ嫌だ嫌ダイヤダイヤイダイヤダ。
喰われるのか、穢れるのか、1秒後に自分という存在がどうなっているかが想像出来ない事が、理性を食いつぶして恐怖を拡散させていく。
「イヤァァアァアアアアアアアアアアアアアアアアアアッ!!!」
今更になって動くようになった手を振り回して芋虫を払いのける。のけた拍子に摩擦で押し潰された芋虫から極彩色の体液が撒き散らされ、腕に纏わりつき、そこからまた芋虫が大量に湧いて出た。まるで私の腕から蛆虫が湧いているかのように。
助けを求めるように暴れれば暴れるほどに全身を芋虫が覆いつくし、全身が虫の苗床となっていくように――嘘だ。
こんなのは現実じゃない。
覚めてよ、覚めて。夢なら早く覚めて。
でないと――私は――、―――、―――――。
「ハッ!?あ、げほっ!ごほっ!!はぁっ……はぁっ……」
跳ねるように身を起こした。
見覚えのある部屋の、使い慣れた
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