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思惑の色は――紅
第1話 狼藉
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しなかった愉しい感覚を凛に伝えてきた。
「もう少し、硬くできないのか? そのほうが好みなのだが」
「ぅんっ! あ……ふぅ……っあ……!」
 その、品の無い理不尽な要求に、凛の口から甲高い、甘く、幼い声が洩れた。こんな本意ではない状況にあっては、誰にも聞かせてはならない声……
「まあ、その歳では無理もない。どれ、私が鍛えてやるか」
 淫核への責めが、指先の肉で撫でつける感じから、爪の先端で引っ掻いてゆく感じに変化した。堪らず、凛は身を捩り、アーチャーに背中を擦りつけた。
「や!……は……私みたいな小娘にこんなことして……はぁ……恥ずかしいと思わないの」
 苦し紛れに、そんなことを言って強がってみた。すると、アーチャーは――
「だから、魔力回復のためだ。我慢しろ。私も心苦しいが、致し方なく行なっているだけだ。君のほうこそ、女魔術師たる者、いざという時はこれしき、平然とこなせなければならないはずだぞ」
 などと、ふてぶてしくも言い放ったのである。
「魔力、回復……って、今日はそんなに魔術は使ってないわ! こんなこと、必要ないでしょ!」
「そうでもなかろう。だいいち、君は今朝、寝坊した。昨晩、私に広間の片づけを任せきりにしたのも、魔力が著しく不足していたからだ、違うか?」
「……あ……はあ……は、ん……ぅ」
「だが、明日あたりからは本格的に、他のクラスの陣営と戦わなければならなくなる。油断は禁物だぞ、凛」
「た、ただの……あ……仕返し、じゃない……変態……」
 凛のほうは、減らず口を叩くのも容易ではなくなってきていた。意識が、朦朧としている。くすぐったい吐息を首筋に吹きつけてくる背後の男が言うとおり、女としての不甲斐無さを、我ながら感じなくもなかった。しかし、それより、一刻も早く、この変質者を振り解かなければ真剣に、まずい。
 全身が、火照ってきたのだ。熱くなってはならない部位ほど、急激に。それに何より気持ちの上で、この狼藉を受け入れそうになりかけている。
「ふん、この程度のことで、大げさに狼狽えるな。さ、顔をこっちに向けろ」
「え……あ……」
「キスだ」
「……キス……キスね。分かった……はあ……こ、これで……んんっ!」
 しまった、と思った。極めて精密に機能し、優雅なほどに洗練された答えへと即座に辿り着くことで知られる凛の頭脳が、ありえない誤作動を起こしてしまったのである。
 この束縛から逃れるために、首を後ろへと捻じ曲げ、唇を差し出してしまったのだ。たしかに、行為が進めば、それだけ早く解放される。しかし――
「ん……う、ん……はあ…………っ」
 口の中を、巧妙に刺激されているのが分かった。肉体を、性器を熱くさせられ、もどかしい気分に昂ぶる凛の舌は、侵入者の舌を拒まなかった。
 彼女の口の中を、感じる部分を求めて
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