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ソードアート・オンライン もう一人の主人公の物語
■■インフィニティ・モーメント編 主人公:ミドリ■■
壊れた世界◆生きる意味
第六十三話 生きる意味:ミドリ&ストレア
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つくわけがないのだ。それでも、できることはなんでもやってみようと彼は決意した。

「それで……ミドリたちはどうするか決断できたの?」
 アイリアの問いかけに対し、ミドリとストレアは確信を持って頷いた。
「ああ、決めた。もう迷わない」
「私も。こうなるんじゃないかな、とは思ってたけどね」
 二人は互いをちらりと見たあと、全く同じ決意を言葉にした。

「俺はお前たちと一緒にクリアを目指す」
「私もみんながクリアするのを手伝う」

「俺は、俺の『生きる意味』は――プレイヤーがこの世界を出ること、だ。何故なら、俺にはそれ以外に何も残せないからだ。俺がここで死ぬことは決定事項だ。それなら、俺は『自分のあるべき姿を追い求めたい』。俺が『自分らしくある』とは、システムに隷従するプログラムとしてこの城を守ることでは決して無いし、ましてや自己犠牲の精神で自分を殺し、プレイヤーを開放する英雄になりきることでもない。……俺は『みんなを守りたい』んだ。今まで世話になったみんなに報いたい。それに、ここでみんなの助けをすることなく、俺の知らないところでこの世界がクリアされたら、俺は『なにも為せなかった』ことになる。それは『悔やんでも悔やみきれない』ことだろう。だから俺は――俺自身の意志を持って、この城の開放を目指して戦う! それが、『俺達が生き残り、プレイヤーが救われない』でも、『俺達が消え、プレイヤーが開放される』でもない、第三の未来――『俺がやるべきことを為して死に、プレイヤーも開放される』、その選択だ!」
「私はずっと悩んでいた。私自身がやりたいことを見つけられないまま――。でも、そんなのはちょっと考えればすぐに分かることだったんだ。ただ、『プレイヤーの邪魔をするか、あるいは何もやらずに、クリアを認めないで、結局は死んでいく自分』と、『みんなと肩を並べて戦い、希望を持って死ぬ自分』のどちらを目指したいを考えれば。私は――『自分を殺してまで、生きていたいとは思わない』! 私が望むのは、『真に生き続ける自分』よ!! ただ流されるのではなく、自分で選択し、自分で進む道を切り拓く……私はそうやって生きていく!」

 二人の命がけの決意は、その場の皆の魂を震わせた。生きるか死ぬかの選択を前に、目を閉じ、耳をふさぎ、口を閉ざすものがどんなに多いことか。彼らも一時はそうなりかけたのだ。それでも立ち上がり、自らの全存在をかけて答えを追い求めるその姿のいかに力強いことか! いかに尊いことか! 身体は人間ではなくても――人間というものの強さを、彼らは圧倒的存在感をもって示していた。

「なんていうか――すごい」
 アイリアは何の意味もない感想を漏らしたが、他の皆も頷いて同意した。どんな言葉を並べても彼らの決意の前では無価値だった。
「|ありがたしとも世の常なり《滅
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