暁 〜小説投稿サイト〜
ソードアート・オンライン 〜槍剣使いの能力共有〜
マザーズロザリオ編
73.絶剣
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を崩さないままだった。その彼女の頬にも赤い線が見える。
 これだけ手を合わせただけでもわかった。
 ───《絶剣》ユウキは本物だと。
 これならキリトが負けた理由も分かる気がする。
 これほどの相手に手を抜いて戦うのはかえって失礼に値する。対等な条件になるために俺はOSSを賭けた。しかし今の俺は手を抜いているわけではないが、本気とはいえない。
 俺は後ろに飛び退いてユウキと距離をとった。
 そしてちょうど後ろにいたリーファの顔を一瞬だけ見る。彼女は俺のことを心配しているように両手を胸の前で握っている。
 さすがにリーファの前で無様な戦いは見せられない。

「ちょっとタイム頼めるか」

 俺は手で“T”を作ってタイムを要求する。
 するとユウキは疑問を持ったような表情を見せるが、どうぞどうぞ、と了承してくれた。
 ありがたく俺は、システムウインドウを開き、所持アイテムリストから一つの武器をオブジェクト化する。禍々しい紅い光を放ちながらも黄金を纏い、三つの分かれた穂先。ルグルー回路の奥地に眠っていた伝説級武器(レジェンダリーウエポン)、《ロンギヌスの槍》だ。
 それを左手で背中から引き抜いて構える。右手に片手用直剣、左手に片手用槍といった異質な構えにユウキはワクワクしたような顔をしている。
 多分、本質的に俺と彼女は似ているのだろう。
 だからこそだ。俺の中にまだ消えない違和感をユウキと剣を交えることで知りたいと思っている。
 一度、息を整えてから俺はタイムを解いて彼女と向き合う。綺麗な紫水晶の瞳がきらりと光る。
 すると今度は、ユウキから飛び出してきた。
 右上から振り下ろされる剣を、右の剣で弾く。すると金属同士がぶつかり合う音とともに右手にかなりの衝撃が伝わってくる。だが、ここで押し負けているだけでは、槍を出した意味などない。俺はすかさず左手の槍を音速のごとく三つの穂先がユウキの胸へと突き刺した。完全に捉えた。しかしユウキは上半身を半ば反らすような形で回避してくる。だが、それでも完全な回避は行えずに胸のプレートを一番左の刃が抉っていく。
 それでもただでやられるわけもなく先ほどの右手にとんでもない衝撃とともに絶剣の刃の先が俺の右肩をわずかに掠っていく。互いにわずかにHPが減少しているだけで、致命的なダメージが一発も受けていない。
 そこから激しい剣戟戦が繰り広げられていく。
 そのどれもがヒットはするが致命傷になるようなダメージを互いに与えることはできていない。
 だが、その中でユウキの癖というか弱点のようなものが見えてくる。確かに彼女は恐るべき反応速度を誇っている。しかしそれでも対人戦には慣れていないようでタイミングをずらしてくるや、ソードスキルを無理やり溜め込んでのフェイントは使ってこない。
 そこをつけ
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