マザーズロザリオ編
73.絶剣
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う気持ちとこの引っ掛かりの正体を知りたいという二つの気持ちが交錯し心拍数を上げていく。
「来たよ、シュウくん」
リーファの声に俺は目の前の大樹のふもとのあたりに焦点を合わせていく。
逆光が絶剣のシルエットを映し出す。思ったよりも小柄だ。かなり華奢な体型に見える。
陽光が雲に隠れるとその姿が明確に映し出されていく。肌は、闇妖精族の特徴である、影の部分が紫がかった乳白色。長く伸びたストレートの髪は、とても綺麗な黒色だ。胸部を覆うアーマーは柔らかな丸みをおび、その下のチュニックと、ロングスカート。
俺はその姿を唖然として見詰める。
絶剣は、深々とお辞儀をするとその顔をこちらへと向けた。小さく整った顔立ち。クリクリとした大きな瞳が輝いている。
「……絶剣って女だったのかよ」
かなり苦笑いを浮かべながら、リーファに聞こえるくらいの小さな声で呟いた。
言ってなかったっけ、と言わんばかりの表情を見せるリーファ。
なるほど……俺が感じていた引っ掛かりはこれで解決されたようなものだ。相手が少女ならキリトが負けたのにも納得がいく。
「それじゃあ、ボクと対戦してくれる人は出てきてください」
アバターに合った高くとても可愛らしい響きだ。
「行かないの、シュウくん?」
「いや……さすがに女の子相手だと気合いの入れ方が変わるというか、なんというか」
さすがにそのプレイヤーがどれだけ強いとわかっても女の子を斬るのには、わずかな抵抗がある。
「まず最初は、《槍剣使い》殿が行くべきでしょ」
そんな余分なことを言ったのは、先ほど俺を一瞥した男性プレイヤーだった。すると周りのプレイヤーも俺に気づき、一瞬のうちに小島の上は、俺がやる流れになってしまった
もう後には引けない空気になってしまった。
渋々ながら俺は一歩前に出て、絶剣と向かい合う。
「そういう流れになっちまったから手合わせ願うよ──絶剣殿」
「お兄さん、有名人なんだね」
ニコッと笑顔を少女は見せる。
「別にそうでもねぇよ。コンバートしてきてからすぐに何十人倒してるあんたの方が今は有名人だよ」
あっ、と俺は一つのことを思い出す。
「そういえば、あんたに勝てばOSSをくれるっつうのは本当なのか?」
ここに来る前にリーファに言われたこと。絶剣は、なぜかデュエルにOSSを賭けて戦っていると。OSSを渡すことなどあまりその人に得はない。
「うん。ボクに勝てたらね」
少女は笑顔を浮かべながら頷いた。
「そういうことなら、俺も賭けるよ……OSSをね」
「別にお兄さんはいいよ」
「いや、やるからには対等な条件でやりたいからな」
そっか、と絶剣は感心し
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