【魔界】での戦い T
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全ての機械類が停止し、混乱の渦に巻き込まれた東京。星と月明かりだけが照らすこの舞台で、幾人もの人間が入り乱れて戦っていた。
「貴様・・・!よくもおめおめと私の前に顔を出せたものだな・・・!」
怒りに顔を歪ませ、数えるのも億劫な程の狼をサルバトーレ・ドニにけしかけるのは、バルカンの魔王サーシャ・デヤンスタール・ヴォバン侯爵。彼の権能である【貪る群狼】により生み出された馬ほどの大きさの狼の群は、近づくそばからドニに切り裂かれる。
「そんな昔の話どうでもいいじゃないか。水に流してさ、今はこの時を楽しもうよ!」
笑顔で言って、また狼を切り捨てる。それがまた、ヴォバン侯爵を怒らせるのだ。過去、自分が苦労して行ったまつろわぬ神招来の儀式。数多の犠牲を払った末に招来したその神をドニに奪われている彼としては、ドニの言葉は許せるものではない。
「貴様・・・!」
「どうでもいいからお前ら!さっさとこの国から出て行け!!」
ヴォバン侯爵に突撃し彼の言葉を妨げたのは、最も新しき魔王、草薙護堂である。
【ステータス改竄】の『製鉄』により、無骨ながらも確かな力を感じる神剣を手にした護堂は、それを上段から振り下ろす。
「舐めるな小僧!」
しかし、彼とヴォバン侯爵の間に突如割り込んだ聖騎士の男性によって、その攻撃は防がれた。―――防がれたとは言っても、神剣をただの大騎士程度の魔術師が防げる訳もなく、体を真っ二つに切り裂かれたのだが。
しかし、ヴォバン侯爵がそれを気にする事もなく、新たに生み出された魔女や大騎士が四方から護堂に襲いかかった。
「チッ!」
即座に『製鉄』を削除し、『神速』を装填する護堂。ヴォバン侯爵の反撃を避け、そのまま脇目も振らずドニへと突貫する。
「お前もさっさと帰れ!迷惑なんだよ!」
「ハハハ!この戦いが終わったら帰るさ!」
ドニは世界最高の剣士である。当然心眼も習得している。それを事前に聞いていた護堂は、『太陽』を装填し、両腕から炎を吐き出し、鞭のように叩きつけた。
「うわっアチチチ!」
ドニはすでに【鋼鉄の肉体】を発動していたが、鋼の権能は熱に弱い。更に、剣の間合いの外から襲い来る鞭を避ける為に必死になっていると、その合間を掻い潜って白井早穂が襲いかかった。
「斬るであります!」
「うわわ!」
早穂が使っているのは、今月今夜ではなく、護堂が『製鉄』で作成した神剣である。神器の中でも最高峰の今月今夜ではあるが、ドニの【切り裂く銀の腕】に対抗が出来ないことは、三月の時点で判明している。それな
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