黎明の光が掃う空に
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々の隙間を舞う姿はさながら蝶のように。
これは正しく、紅揚羽が舞う舞台。目に着いたモノは彼女の食す紅華となるだけで、捕まえる事も殺す事も、敵に出来るはずがなかった。
幾分経った。
敵の数も大分減り、そして……明も張コウ隊の場所に大分近付いた。声が聴こえる。聞きなれた張コウ隊の兵士達の声で、まだ戦う元気があるのだと教えてくれた。
円陣のまま動けないのは毒矢を警戒してなのは直ぐ分かった。だから明が敵を殲滅しつつ徐々に、徐々に近づく事にしたのだ。
――あと、少し。もうちょっと。夕……助けに来たよ。
彼女は暗殺の技術をずっと習ってきた為に、耳がいい。
だから……その些細な声を聞き取ってしまった。
「……っ……夕様っ」
兵士の声。一番最精鋭の声。真名を預けているのは、夕だからと考えがある事は明白で。
けれども彼女にとっては少しだけ思考を回さなければならなくて。
故に……一瞬の隙が出来てしまった。
「……っ」
気付いた時には遅く、前から幾重、弦の弾かれる音が鳴った。そして後ろには……二人の敵兵が武器を振り降ろす音。
仲間も無視したその行動に、咄嗟の判断で間に合わないと気付く。
せめて毒矢だけでも避けなければと、明は矢を見極めて鎌で弾きつつ、前に飛んだ。
背中を這わされた刃の冷たさが、少し懐かしく感じた。
闇夜が漸く白みかけた頃であった。
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