シルバーヘアに魅せられて
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「 ……………… 」
「 ん、切った? 」
「 すまん、無理だ 」
つと短剣を銀髪から離し、嘆息を洩らすイングズ。
「ほっ、良かったわ。……ちょっとルーネス、あんたが思ってるよりあんたの髪は綺麗なんだからもっと大事に扱いなさいよ!」
「うるさいな……、キレイとか云うな! おれはそんなんじゃないっての!! ────どっかの町で、この際ギル払ってでも髪切るからなっ」
「はぁ……、ルーネスはこうなると人の云う事まるで受け付けなくなるんだよね」
幼馴染みで性格をよく知っているアルクゥは、肩を竦める。
「ルーネス………やめてくれないか」
その時イングズが、羽付き帽子を俯かせて静かな口調で話し出す。
「私は……、今のお前のままがいい。髪を切るのはよしてくれ、ルーネス」
俯いていた顔をゆっくりと上げたイングズの表情は、まるで哀願するかのように切なげで、他の三人は思わず目を奪われる。
「わかったやめる」
「ルーネスが即答したね……」
「ま、まぁ気が変わって何よりだわ……?」
ほっとしたような落ち着かないような、妙な気持ちになるアルクゥとレフィア。
「そうか、良かった……。誰かに切らせるくらいなら、私が切ってそれを手元に持っておこうとすら考えたが────やはり、出来なかった。……レフィアの云うように、もっと自分の髪を大事にしてやってくれ。お前在っての銀髪、銀髪在ってのお前なんだからな」
イングズは微笑みを浮かべ、ルーネスはそれを一心に見つめている。
「分かったよイングズ、おれこれからちゃんとケアする! だから────時たまおれの髪梳かしてよ」
「あぁ、勿論だ。時々と云わず、いつでも。……お前を膝の上にでも乗せて、髪を梳かしてやろう」
イングズにいとおしげに銀髪を撫でられ、ルーネスははにかんだ様子で、そんな二人の声を掛けられない雰囲気に、アルクゥとレフィアは少し呆れている。
「ねぇレフィア……、イングズはルーネスの髪がそんなに好きだったのかな」
「本命が銀髪なら、ルーネス本体は二の次なのかしらね………」
End
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