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横浜事変-the mixing black&white-
人間の殺意は時に向ける先を間違えてしまう
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余裕なんかないわよ」

 そう言うと灰色のジャケットを脱ぎ、中に着用していた薄地のシャツを捲って見せた。右脇腹に刺突傷があるのを赤島はすぐに発見した。

 「まあ、赤島さんとは違って傷が浅いけど」

 「ったく、今にも死にそうな人間に嫌味かよ……」

 赤島の言葉に宮条が初めて表情に色を付け足した。仕方ないとでも言いたいような困った笑みだ。

 「そうでも言わないと、貴方は天国に行っても他人に優しくするだけだもの」

 「おいおい、俺は天国には及ばねえよ……」

 精一杯の苦笑いはふと消え失せ、首がガクリと下がる。赤島の最期を看取った宮条は吐息を漏らすと、法城に声を掛けた。

 「そっちは終わった?」

 「終わったの知ってるから、声掛けたんでしょ。これでも殺し屋ですから」

 黄緑色に血痕の斑点をいくつも作ったパーカーを着る法城は普段と変わらない調子で呟いた。

 「じゃ、ラストやりますか」
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