閑話ー聖槍と聖剣の英雄ー
72.エクスキャリバー
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ノートPCが置いてある前に座り、小型ヘッドセットを装着して話しかける。
「どうだ、ユイ?」
『……見えます。ちゃんと見えるし、聞こえます、パパ!』
するとPCのスピーカーからユイの声が聞こえる。
「OK、ゆっくり移動してみてくれ」
『ハイ!』
すると一番近くのカメラのレンズが動き出した。
「……なるほど、つまりあのカメラとマイクは、ユイちゃんの端末……感覚器ってっことね」
詩乃の言葉に、キリトではなく直葉が頷く。
「ええ。お兄ちゃん、学校でメカ……メカトニ……」
「メカトロニクスな」
苦笑いを浮かべながら俺が言い直す。
「それニクス・コースっての選択してて、これ授業の課題で作ってるんですけど、完全ゆいちゃんのためですよねー」
『がんがん注文出してます!』
キリトはほんと自分の子供に対して甘いな。
これで実際に子供が生まれて、娘だったりしたらお嫁にすら行かせないんじゃないかと心配になってくる。
「そ、それだけじゃないぞ! カメラをもっと小型化して、肩とか頭に装着できるようになれば、どこでも自由に連れて行けるし……」
「それもユイちゃんのためだろ」
マスターから出された烏龍茶を啜りながら、俺が言うと反論できないようだ。
そこからキリトが謎の妄想を語っているうちに、明日菜、クライン、里香、佳子《シリカ》の順番に集まっていき、二つのテーブルをくっつけた卓上に料理類が並んでいく。エギルもエプロンを外して席につく。
「祝、《聖剣エクスキャリバー》とついでに《雷槌ミョルニル》ゲット! お疲れ、二〇二五年! ──乾杯!」
キリトの音頭で忘年会がスタートする。
「……それにしても、さ」
左隣に座っていた詩乃がそう呟いたのは、テーブルのご馳走がほとんど片付いた頃だった。
「どうして《エクスキャリバー》なの?」
「と、いうと?」
詩乃はフォークを器用にくるくる回しながら補足する。
「普通は……っていうか、他のファンタジー小説やマンガとかだと大抵《カリバー》でしょ。《エクスカリバー》」
「そのことか」
「へえ、シノンさん、その手の小説とか読むんですか?」
俺の隣に座っていた直葉が訊ねると、詩乃はめずらしく照れ臭そうに笑う。
「中学の頃は、図書館のヌシだったから。アーサー王伝説の本も何冊か読んだけど、訳は全部《カリバー》だった気がするなあ」
「そう言われてみればそうだな」
基本小説を読むほうではないのでゲームなどでの知識になる。確かに《エクスカリバー》という名前が最も多い気がする。あとは《カリバーン》などがあった気がする。
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