閑話ー聖槍と聖剣の英雄ー
72.エクスキャリバー
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ルズの左側につむじ風が起こり、三つ目のシルエットが出現。
鎧兜姿の金髪を細く束ねた美しい女性。
そして三人目は、人間、いや妖精サイズだった。
「我が名は《スクルド》! 礼を言おう、戦士たちよ!」
凛と声を張って叫び、スクルドも再度、報酬アイテムの滝を降らした。
「──私からは、その剣を授けましょう。しかし、ゆめゆめ《ウルズの泉》には投げこまぬように」
「は、はい、しません」
子供のようにキリトが頷く。
するとこれまで両手に握られていた伝説武器《聖剣エクスキャリバー》は、姿を消した。
三人の乙女たちは、ふわりと距離を取って、声を揃えて言った。
「ありがとう、妖精たち。また会いましょう」
同時に視界の中央に、凝ったフォントとシステムメッセージ。クエストクリアを告げる。三人は身を翻し、飛び去ろうとした。
その直前、どたどたっと前に飛び出てクラインが叫んだ。
「すっ、すすスクルドさん! 連絡先をぉぉ!」
ここまでくるとクラインには呆れるほどだ。
しかし姉の二人はそっけなく消えてしまったが、スクルドさんはくるりと振り返ると、気のせいか面白がるような表情を作り、小さく手を振った。何かきらきらしたものが宙を流れ、クラインの手にすっぽりと飛び込んだ。
やがてリズベットが小刻みに首を振りながら囁いた。
「クライン。あたし今、あんたのこと、心の底から尊敬してる」
二〇二五年十二月二十八日の朝突発的に始まった俺たちの冒険は、こうしてお昼過ぎに終了した。
「……あのさ、この後、打ち上げ兼忘年会でもどう?」
キリトの提案に、さすがに疲れていたアスナがほわんと笑い、言った。
「賛成」
「賛成です!」
ユイが右手をまっすぐあげた。
突発的に行われることになった忘年会だったが、問題はどこでやるかということだ。
ALO内で行えば、ユイが確実に参加することができる。しかし、アスナが翌日から一週間ほど、京都にある父方の本家に行くということでここを逃すと年内にはもう会えないようだ。
それでユイが、リアルで!、言ってくれたので俺たちの忘年会はいつも通りの《ダイシー・カフェ》となった。
夕方から雪の予報だったのでバイクで行くか電車で行くか悩んだ結果、寒いのが嫌という理由で電車で向かうことにした。
結局、ダイシー・カフェのドアを開けたのは二時過ぎくらいになった。
先客として、桐ヶ谷和人とその妹の直葉と朝田詩乃がいた。
「……なにやってんだ?」
三人は小型カメラのような物を店内に設置していた。
さあ、といった感じで詩乃が肩をわずかに盛り上がらせた。
キリトはカメラと一緒に持ってきたであろう
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