閑話ー聖槍と聖剣の英雄ー
72.エクスキャリバー
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を感じた。骨が軋むような音を首が鳴らす。ゆっくりゆっくりと振り返ると、そこには満面の笑みを浮かべるリーファがいた。
「な、なんでしょうか……す、直葉さん……」
思わずキャラネームではなく本名で呼んでしまった。いま彼女が浮かべている満面の笑みは嬉しいからではない。怒っている時の笑みだ。どうして怒っているかは大体検討はついている。先ほど俺がシノンに抱きついていたことであろう。
「い、いや……あれは、しかたなかったんです」
「まだ何も言ってないよ……」
笑みを崩さないままリーファは、首を横に傾ける。その仕草は今の俺には恐怖でしかない。
「あとで話したいことがあるからね、集也くん」
「は、はい」
この時に俺は思った。
──女の人って本当に怖いですね。
そしてちらっとシノンを見ると水色の尻尾の先が小刻みに震えている。それは爆笑をこらえている証だ。完全に俺は彼女にはめられた。
今度リーファがいない時にあの尻尾を掴んでどれほど嫌がっても離してやらないと決意した。
「見事に、成し遂げてくれましたね」
俺が次に意識がはっきりしたのは、その言葉からだった。
それまでは直葉にリアルに戻ってから何をされるんだろうということから呆然としていた。
トンキーの頭の向こうに俺たちにクエストを依頼した身の丈三メートルの金髪の美女、《湖の女王ウルズ》だった。
「《全ての鉄と木を斬る剣》エクスキャリバーが取り除かれたことにより、イグドラシルから絶たれた《霊根》は母の元へ還りました。樹の恩寵は再び大地に満ち、ヨツンヘイムはかつての姿を取り戻しました。これも全て、そなたたちのお陰です」
「いや……そんな。スリュムは、トールの助けがなかったら到底倒せなかったと思うし……」
キリトの言葉に、ウルズは頷いた。
「かの雷神の力は、私も感じました。ですが……気をつけなさい、妖精たちよ。彼らアース神族は、霜の巨人の敵ですが、決してそなたらの味方ではない……」
「あの……スリュム本人もそんなこと言ってましたが、それは、どういう……?」
いつ泣いていたのだろうか、リーファがそう訊ねる。しかしそれはカーディナルのシステムでも応答できなかった。
「──私の妹たちからも、そなたらに礼があるそうです」
そんな言葉とともに、もう一つの人影が現れた。
身長は、姉よりは小さい。そうはいっても俺たちからすれば見上げる程度。髪は同じく金色だが、長衣の色が青。
「私の名は《ベルザンディ》。ありがとう、妖精の剣士たち。もう一度、緑のヨツンヘイムを見られるなんて、ああ、夢のよう……」
すると俺たちの目の前にアイテムだのユルド貨などがどさーっと落下してくる。
そしてさらに、ウ
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