閑話ー聖槍と聖剣の英雄ー
72.エクスキャリバー
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俺たちのもう一匹の仲間──。
「トンキ────!」
両手を口に当て、リーファが叫んだ。もう一度、トンキーが応答する。
「こ……こっちこっちーっ!」
リズが叫び、アスナが手を振る。シリカがピナの羽越しにおそるおそる顔を上げ、シノンがやれやれと尻尾を振る。
破壊の原因を作ったクラインはようやく顔を上げて、ニヤリと笑って右手の親指を立てた。
「へへっ……オリャ、最初っから信じてたぜ……アイツが絶対に助けに来てくれるってよォ……」
──嘘つけ!
と俺たちは全員思っただろう。
円盤の周囲の無数の氷塊のせいで、トンキーはぴったりと横にはつけない。五メートルほどの間隔をあけてホバリングしている。しかしこのくらいなら飛べないことはない。
まず初めにリーファが、余裕のジャンプで見事にトンキーの背中に乗った。
シリカは両手でピナの足を掴んでややぎこちない助走で踏み切る。そしてピナの滞空時間のブーストでそのまま無事にリーファの腕の中に抱きとめられる。
次にリズベット、アスナ、シノンが乗り移るのに成功する。
やや強張った表情のクラインに、俺とキリトはお先にどうぞと手を振った。
「オッシャ、魅せたるぜ、オレ様の華麗な……」
タイミングを計っているクラインの背中を思いっきりどつく。やや飛距離が足りない気がしたが、トンキーが鼻を伸ばして空中でキャッチ。
「お、おわああああ!? ここ怖ェええええ!?」
喚き声を無視して、俺も飛び移るために助走へと入ろうとする。しかし一つの気がかりが俺にはあった。
さきほどから気にはなっていたが、《聖剣エクスキャリバー》を抱えているキリトのブーツが氷に食いこみそうなのだ。
あれほどの重量を持って五メートルもジャンプするのは不可能だ。
「どうすんだよ、キリト?」
「先に行っててくれ、シュウ」
何かを考え込んでいるようなキリト。考えていることなどわかる。それでもシュウがこの場でできることはない。
「絶対こいよな!」
その言葉を残して俺はトンキーの背中へと飛び移った。そしてすぐに体の向きを円盤方向へと変える。
キリトは苦笑いを浮かべる。
そして次の瞬間、右手に掴んでいた剣を、真横に放り投げた。
それがキリトの選択だったようだ。
軽く助走をしたキリトが踏み切ると、体の向きを空中で変えて落下していくエクスキャリバーを見ている。
トンキーの背中に着地したと同時に上昇を始める。
キリトの横にやってきたアスナが肩に手を置く。
「……また、いつか取りにいけるわよ」
「わたしがバッチリ座標固定します!」
すぐにユイも続ける。
「……ああ、そうだな。ニブルヘイムのどこかで、きっと待っててく
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