閑話ー聖槍と聖剣の英雄ー
72.エクスキャリバー
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力や敏捷力といった数値的ステータスは明確にわからない。
それは種族によって変わる隠しパラメータによって決められるらしい。
しかしサラマンダーの種族補正がかかっているクラインも俺同様に敏捷力よりだ。つまりキリト以外はやはり抜くことはできない。それに誰かが手を貸すことができても生粋のゲーマーであるキリトなら自分の武器は自分で手に入れたいはずだ。
「がんばれ、キリトくん!」
アスナがエールを送る。
「ほら、もうちょっと!」
それに続けてリズが声をあげ、リーファ、シリカ、クラインも声援を送る。
「根性見せて!」
「パパ、がんばって!」
シノンが叫び、ユイが精一杯の大声を出し、ピナも鳴く。
俺は、空気を肺へと送り込み、それを一気に吐き出した。
「とっとと抜けよな、キリト!!」
するとびきっ、という鋭い音がわずかに聞こえた。
「あっ……!」
誰かが叫んだ。それは唐突に起きるものだった。
今までに聞いたことがない爽快な音が聞こえた。四方に氷塊が飛び散り、黄金の長剣がキリトの手の中におさまる。
しかし、その重さと抜いた勢いでキリトの体は大きくのけぞる。それを全員で支える。
これで全てが終わった。やっとだ。と喜ぼうとした時だった。
氷の台座から解き放たれた小さな木の根が急激に育ち始めたのだ。
極細の毛細菅が、みるみる下方へと広がり、すっぱり断ち切られていた上部の切断面からも新たな組織が伸びてくる。
ジャックもびっくりするレベルの成長具合だった。
すると上から俺たち駆け抜けてきた螺旋階段を粉砕しながら何かがくる。それは根っこだ。スリュムへイムを取り巻いていた世界樹の根だ。
すると今までの揺れなど気にもならないレベルの衝撃波がスリュムへイムを呑み込んだ。
「おわっ……こ……壊れっ……!」
クラインの叫びと周囲の壁に無数のヒビが入ったのはほぼ同時だった。
耳をつんざくような大音響が連続して轟く。分厚い壁が崩落し、遥か下の《グレネードボイド》めがけて落下していく。
「……! スリュムへイム全体が崩壊します! パパ、脱出を!」
頭上のユイが鋭く叫んだ。キリトは右隣のアスナと顔を見合わせて、同時に叫ぶ。
「って言っても、階段が!」
その通りだ。先ほど螺旋階段は世界樹の根っこに跡形もなく吹き飛んだ。
「根っこに捕まるのは……」
こんな状況でもシノンは冷静に呟く。
「……無理そうね」
推定でも十メートルはあるであろう。そんな距離をジャンプで届くとは思えない。唯一の闇妖精である俺のみが暗中飛行を行える。しかしながらこのヨツンヘイムではそれさえも禁じられている。
「ちょっと世界樹
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