閑話ー聖槍と聖剣の英雄ー
72.エクスキャリバー
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「うぅーん、それはもう、ALOにあるアイテムを設定したデザイナーの趣味という気まぐれというか……」
するとキリトの左側に座る明日菜が苦笑いを浮かべる。それもそうなのかもしれない。俺が手にした《ロンギヌスの槍》も姿は、ほとんどSAOの《ロンギヌス》と変わりなかった。しかし名前のケツの部分に《の槍》というのが付け加えられた。
「たしかにそれもそうだな」
キリトがジンジャーエールを啜りながら言う。
「まあ、別に大したことじゃないんだけど……《キャリバー》って言うと、私には別の意味に聞こえるから、ちょっと気になっただけ」
詩乃が再び口を開いた。
「へぇ、どんな意味なんだ?」
「銃の口径のことを、英語で《キャリバー》って言うのよ。たとえば、私のへカートUは50口径で《フィフティ・キャリバー》。エクスキャリバーとは綴りが違うと思うけどね」
一瞬口を閉じた詩乃がちらりとキリトを見てから続けた。
「……あとは、そこkら転じて、《人の器》って意味もある。《a man of high caliber》で《器の大きい人》とか《能力の高い人》」
「へええーっ、覚えとこ……」
直葉が感心している。
すると向こうサイドで話を聞いていたであろうリズベットが、ニヤニヤと顔を作って言った。
「ってーことは、エクスキャリバーの持ち主はデッカイ器がないとだめってことよね。なんかウワサで、最近どこかの誰かさんが、短期のアルバイトでどーんと稼いだってきいたんだけどぉー」
「ウッ…………」
そういえば総務省の菊岡から、《死銃事件》の調査協力費がそろそろ振り込まれたころだったきがする。
するとキリトが俺に助けを求めるような表情を見せている。
しかしそれを無視して、テーブルの上の烏龍茶へと手をかけた時に隣から囁くような声が聞こえる。
「ナノカーボンの竹刀が欲しいな」
その声を聞いてまたしても背中に嫌な汗が伝っていく。
苦笑いを浮かべながら俺は、右隣の直葉が満面の笑みを浮かべながらこちらを見ていた。
「はぁ〜、買ってやるよ。どうせ俺は使うもんなんてゲームしかないからな」
「やった! ありがとね、集也くん」
今度は、無邪気な満面の笑みを浮かべる直葉。
まぁ、少し怒られたりもしたけどこの笑顔が見れたならよしとするかな。
「使い道がないなら私も新しい電子レンジが欲しいな」
あれ?
なんでだろ、左隣からもなんか物を請求する声が聞こえるんだけど気のせいかな。
「なんでこうなるんだよ」
気が抜けたように俺は天を仰いだ。
なんかこの二人のせいで俺の報酬が消えるような気がするな。
しかしこの二人には、あの時に助けられた恩がある。
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