閑話ー聖槍と聖剣の英雄ー
72.エクスキャリバー
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神話に詳しくない人でもその名くらいなら一度は聞いたことがある。
雷神トール───オーディンやロキに並ぶ北欧神話ではかなり有名な神の一人だ。
つまり今回のクエストはその雷神トールのエピソードがベースになっていたというわけだ。
「ヌウゥーン……卑劣な巨人めが、我が宝《ミョルニル》を盗んだ報い、今こそ購ってもらおうぞ!」
フレイヤ改め、雷神トールは、右手に握った巨大な黄金のハンマーを振りかざし、分厚い床を踏み込んで突進する。
対する霜の王スリュムは、氷の戦斧を生み出すとそれをぶん回す。
「小汚い神め、よくも儂をたばかってくれたな! そのひげ面切り離して、アースガルズに送り返してくれようぞ!」
もはや俺たちとは無関係のところで神たちが戦闘しているのを呆然と見ている。いや、一応俺たちも無関係というわけではないがこんなラグナロクには巻き込まれたくなどない。
すると、部屋の後方から、シノンが鋭く叫んだ。
「トールがタゲ取ってる間に全員で攻撃しよう!」
確かに今はスリュムがトールと戦っている絶対的なチャンスだ。それに雷神様が最後まで戦いに付き合ってくれる保証はない。この状況で我の役目はここまでだ、などと決め台詞を言われてとっても困る。
キリトが剣を振り上げて、声を張り上げる。
「よし、全力攻撃! ソードスキルも遠慮なく使ってくれ!」
そして八人は一気に床を蹴り、スリュムに四方から攻め込む。
「ぬうおおおお────ッ!」
ひときわ気合を入れたクラインが刀を大上段に振りかぶって突進する。スキルディレイなど気にせずに、俺たちは大技を容赦なく打ち込んでいく。
「ぐ……ぬむゥ……!」
たまらず唸り声をあげたスリュムが、左膝を床に着いた。そして見覚えのある黄色いライトエフェクトだ。スタン状態だ。
「ここだっ……!」
「一気に畳み掛けんぞッ!」
俺とキリトの声に合わせて、全員が持ちうる最大連撃数の攻撃を放った。眩いエフェクトが裸の上半身を包み込む。さらに上空から、オレンジに輝く矢が豪雨のごとく降り注ぐ。
「ぬうゥン! 地の底に還るがよい、巨人の王!」
最後のとどめを刺したのはトールの右手のハンマーだった。その一撃は鉄壁とも思えたボスモンスターを一瞬にして地に沈めこんだようにも思えた。
HPゲージがすでに消滅している巨体から消えかけの低い笑い声が流れた。
「ぬっ、ふっふっふっ……。今は勝ち誇るがよい、小虫どもよ。だがな……アース神族に気を許すと痛い目を見るぞ……彼奴らこそが真の、しん」
トールが強烈にストンプを踏み、凍結しかけていたスリュムの巨体を踏み抜いた。
凄まじい規模のエンドフレイムが巻き起こり、霜の巨
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