ドライブ&鎧武 Movie大戦フルスロットル
呉島碧沙にとって思春期とは何か?
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沙って好きなタイプとかいるの?」
「なあに、唐突に」
「彼氏の一人でも出来れば兄離れに変な罪悪感持たなくなるかしらと思って。で、どう?」
「貴兄さんか光兄さんみたいな人ならタイプよ」
即答である。
「兄妹じゃなきゃお嫁さんになりたいと思ったことなんて何回もあるわ」
「貴虎さんも光実さんも異性としては魅力的だものねえ。――言われなくても取ったりしないわよ。わたしはもっとワイルドな人のが好きなんだから。だからジト目やめなさい」
今度、トモは指で碧沙の眉間を小突いた。
「第三者に対しては昔のままなのにねえ。どうしてそれを本人たちにできないんだか」
「ううっ」
「――ごめんなさい。ちょっと意地悪な言い方だったわね。よしよし」
トモが碧沙の頭を撫でた。
(こういうスキンシップしてくるの、昔は咲だけだった。咲にしか許してなかった。トモでも平気になったのは成長したからってことかしら)
思えば、中学に進学してから咲とも疎遠になった。だが、こちらに関しては、碧沙は兄たちの件ほど気に病んでいなかった。
(だって咲ったら駆紋さんのことばっかり話すんだもん。わたしと話してるのに。これに関しては譲らない。咲が悪いんだからっ)
学校が放課になった。碧沙はトモと別れ、一人帰宅した。
現在の呉島三兄妹の住まいは屋敷ではなく、マンションである。これは、大企業の重役でなくなった貴虎の収入減が大いに影響しているのだが、碧沙も光実も口には出さない。碧沙としては、マンションに住めるだけでも儲け物だと思っていた。
「ただいま」
昔のように綺麗な発音を心がけて小首を傾げてみたりしつつ、マンションのドアを開けた。
誰もいない、しんとした部屋のドアを。
(兄さんたちがいなかったら、できるのに)
靴はない。それを確かめ、碧沙は靴を脱いで部屋に上がった。
クラブに入部していない碧沙の帰りが、呉島家では最も早い。
付き合いで飲むという風習に疎い貴虎と、大学生になっても食事だけは家に帰る光実のため、呉島家の食卓は碧沙が担っている。
他の家事では、掃除、洗濯は各自で、風呂掃除はローテーションと決まった。
手探りで、生活感のある暮らしを、ここ数年、呉島兄妹は送ってきた。
(今日の夕飯、どうしようかしら。冷蔵庫の確認……宿題は夕飯の後でいいわよね。宿題っていっても、ほとんど受験勉強だけど。受験、本土の高校も志望校に入れちゃったのよね。沢芽市を出たいって言った時の貴兄さんと光兄さん、ショックみたいだったな。それが嬉しいって思ってるくせに態度は悪い辺り、わたしってイヤな子……)
ぼんやり考えつつ、体はここ数年でなじんだ台所の確認作業を行う。
そうしていて
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