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温泉旅行
温泉旅行(中編/2日目)
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ねてくるが恋也が寝てたからとは言えず、俺も立ち上がり出口に向かう。

とりあえず目に付いた土産屋に寄り、姉と一番下の弟に土産を買おうと思う。
土産屋は至ってシンプルと言うより昔の家に近い感じで、辺り一面木製。
今にも何か出そうな気がするがそれは気のせいだと言い聞かせてキョロキョロと辺りを見渡す。
360°キーホルダーや食べ物が置かれており、実際のところどちらを買えば良いのか良く分からない。

「……猫のぬいぐるみ?」

恋也がぽつり呟いたのが聞こえた。
声がしたほうに振り向くと、そこには招き猫ぐらいの大きさの猫のぬいぐるみが置かれていた。
しかも神社の神様を祭るかのように。
そしてその画はふとどこかで見たことの在る様な錯覚に侵される。
決して見た事はないはずなのに何故か見覚えがあるようなぬいぐるみの置かれ方。
気になってその猫のぬいぐるみを眺めていると、首に何か掛かっていることに気付き、目線を合わせて読んでみると『幼子、川にて死す』と筆で書かれていた。

――まさか、な……。

引きつった表情をしつつ猫のストラップを2つ買い、その土産屋を後にした。


「なぁ……」

旅館に戻って来てから薄気味悪さが増して何故だか無駄に汗を掻いている。
俺が汗かきと言う訳ではない。
旅館の扉を開けたときに何か生暖かいものが体にねっとりと張り付いたというより、横を通り過ぎていったという方に近い感覚に襲われた。
恋也に声を掛けたのだけれど恋也は俺の呼びかけには興味ないのか、ずっと端末を弄っている。
静まり返る梅の間。

「きゃぁ!」

急に若い女の声が響いた。
声の響きからして廊下なんだけれど俺はあまりにも驚きすぎて畳の上で丸くなってしまった。
女の声が聞こえる前に電気が消えて目の前が真っ暗になってすぐに女の声が聞こえた。
そしてガンッと何かが扉にぶつかる音がして俺は目を瞑った。
その後に聞こえた声に拍子抜けするのだが。

「す、すみません!ちょっと躓いて、その拍子にドアにぶつかってしまって……」
「気にしないで」

女の謝罪に恋也が答えていると電気が点き、ただの停電だと放送が流れてホッと胸を撫で下ろす。
だが、俺はホッとしていれば弟恋也があり得ないと言う様な表情で俺を見ている。

「……もしかして暗いの苦手?」
「んな訳ねぇだろ」

違う方に捉えてくれたのが吉か凶なのかは分からないが、俺が苦手なものは知られていないのだろう。
喜んで良いのか分からないが。
溜息を吐きながら上半身を起し、そう言えばとこの時間帯の月が綺麗だとHPで読んだ為、温泉に入ろうと立ち上がれば袖を引っ張られる。
恋也は俺の近くに座っていたので腕を伸ばしただけで袖を掴めたんだろう。
どこか暗い表情でたった一言「
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