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温泉旅行
温泉旅行(中編/2日目)
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止めて「何でも?」と聞き返してくる。
さすがに俺でも何でもはやりたくない。
喋るなとか寝るなぐらいは出来るが、男としてやりたくない事だってたくさんある。
冷たい風が吹いて暫く経ってから恋也は面白い物を見つけたような表情で口を開いた。

「俺が何言っても何をしても一切合切文句言わず、忠実に従え」

また無理な難題を……。
俺に一番向いてないのが文句を言わない事だろう。
自分で言ったのだから仕方がない、従うしかない。

「あー……はい」

とりあえず返事をしておこう。
返事をすれば恋也がまた口を開いた。

「俺の事を『お前又はてめぇ』等で呼ばない。全て名前呼び」
「あぁ……」
「あと、疲れた。目的のとこまでおぶって行け」
「あぁ」

返事の仕方には文句ないらしい。


恋也をおぶりながら歩いていると当然周りに見られて気にはしてないと言えば嘘になるが、俺の背中で熟睡している恋也をどうすれば良いのか全く分からない。

土産場に着くと色々な屋台があり、お守り屋や食べ物屋、アクセサリー等など色々な物が売られている。
暫く辺りを見渡し、気になったところを少し覗いてはブラブラと歩いている。
2、3歳の子供なら微笑ましい光景なのだろうけど、1つ違いの弟をおぶって歩いていると微笑ましさと言うより怪我でもしたのかと思われやすい気がする。

「おい、恋也……」

声をかけても全く起きる気配が無く、どうしたもんかと考えていると休憩所と書かれた看板が目に入りそのまま休憩所に向かう。
中に入れば数人の人が居てほとんどが老夫婦だった。
恋也をゆっくり下ろし、羽織っていたパーカーを掛けて隣に腰掛ける。
イスに座っている人も居れば床に座っている人も居て、俺と恋也は壁を背にして床に座っている。
辺り一面木製で少し肌寒いと思われるが俺の斜め上にエアコンがあった。
地味にぬるい風が当たるのでエアコンは動いているのだろう。

「りと……」

不意に恋也が口を開いたので視線を向けるとどうやら寝言だったようで、規則正しい寝息を立てている。
そうやって黙って寝ていれば可愛げがあるのに。

俺がそんな事を思っているともぞもぞと動いて俺にしがみついてくる。

「おーい」

そう言えば今朝も枕にしがみついて寝ていたような気がするなと、あやふやな記憶を思い出しつつ何かに抱きつかないと寝れないのかと思い、笑みが零れる。
体を揺すっていれば恋也は目を覚まし一瞬で俺の傍から離れていくのかと思えば、寝ぼけているのかそうじゃないのか分からないが、ボンヤリとしている。

「起きたか?」
「……此処何処?」
「土産場にある休憩所」

数回欠伸をした恋也は立ち上がり辺りを見渡してから「土産、買いに行くんじゃなかった?」と尋
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