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ソードアート・オンライン もう一人の主人公の物語
■■インフィニティ・モーメント編 主人公:ミドリ■■
壊れた世界◆生きる意味
第六十話 生きる意味:マルバ&シリカ
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感をもたらすものなのかということをシリカは初めて知ったのだった。しがみついてきたシリカの頭をマルバは優しく撫でた。


 ……さて、誰かを忘れていないだろうか。
 目の前で突如として繰り広げられたラブロマンスに対し、ミドリとストレアは気まずそうに顔を見合わせた。わざとらしくごほんごほんと咳をしてみるも、全く効果がない。ミドリは仕方なく声を張り上げた。
「おうい、お二人さん。聞こえるかい」
「――え? おわぅあ、ミズキ……じゃないや、ミドリ、ごめん。忘れてた」
 マルバは慌ててシリカから離れ、ミドリたちに正対した。
「俺達も十分聞きたいこと聞いたからもう帰るわ。だからごゆっくりどうぞ、と言いたいところだが、あいつは――アイリアは今どこに居る?」
「街に出かけてますよ。ミドリさんが来たってメールしたからすぐ帰ってくるはずです」
「そうか。それなら下の階で待たせてもらう。それじゃあな」
 ミドリたちは今度こそにやにや笑いと共に退出し、すっかり雰囲気を壊されたマルバとシリカはこれ以上イチャイチャする気にもなれず、互いに苦笑しあった。


 一方のミドリたちは、階下でマルバたちの話を聞いた感想を話し合った。
「どうだった?」
「そうだな、キリトやアスナともまた違った『生きる意味』だった。ストレアは何か気づいたか?」
「――『自分の理想像に近づくことが生きる意味』。もしそうだとしたら、私の目指すものは何なのかなって気になった。私がなりたい『私』について考える必要があるかな、って」
「なるほど……」
 頷いたミドリに対し、ストレアは昨日ミドリが話したことについて尋ねた。
「ねえ、ミドリ。君は昨日言ってた『大事なこと』って何なのか分かった?」
「……もう少しで言葉になりそうなんだが。俺達の生きる意味、俺達はなんのために生きるのか――それを考えれば、『俺達が生き残り、プレイヤーが救われない』か『俺達が消え、プレイヤーが開放される』かの二択じゃなく、何か別の、第三の選択肢が生まれそうな気がするんだ」
「第三の、選択肢……」
 ストレアがミドリの言葉をつぶやいたちょうどその時、扉が勢い良く開き、アイリアが駆け込んできた。

「よう」
「……あんたって人はぁッ!」
 アイリアが見たこともない剣幕でミドリに詰め寄り、思いっきり平手を張った。
「いッ――てぇ! いや痛くはないけどよ! いきなりすぎるだろう!」
「自業自得よ! あんた私が一体どれだけ心配したと!」
「悪かったってッ、うわぁぶつのやめてくれッ! いてぇ! お前なんかシリカに似てきてるぞ!」
「うるさいよッ! だいたいあんな手紙一つでなんの説明もなしに行くなんて、こっちのこと少しでも考えたの!?」
「だーから悪かったって言ってるだろーが! ちょっともうやめろ! 
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