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ソードアート・オンライン もう一人の主人公の物語
■■インフィニティ・モーメント編 主人公:ミドリ■■
壊れた世界◆生きる意味
第六十話 生きる意味:マルバ&シリカ
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強すること、旅行すること、読書すること、サッカーすること……これらは、『生きること』の一例だったよね。それじゃ、そういった行動に結び付けられた目標を一つの言葉に表すと、どうなるかな」
 マルバはまた言葉を切り、今度は誰かが何かを言うまで待った。その場の皆はずいぶん長い時間考えこんだが、戸惑いながらも、その問いに最初に答えたのはシリカだった。
「……『理想のわたし』、だと思います。将来、なりたいと思う『わたし』」
「そう、そういうことだよ。だからさ、僕が考えた『生きる意味』っていうのは――」
「――『自分の理想像に近づくこと』、なんだね」
 ストレアがマルバの言葉に被せるように答えた。マルバがストレアの方を見ると、彼女はが何かとても大事なことに気づき、いたく感動しているのが分かり、彼は少し戸惑った。彼にしてみれば、百人いれば百人異なるだろう『生きる意味』の一例を挙げただけのつもりだったのだ。

「だからさ、ええっと――なんの話だったっけ。ああ、そうそう、何のために攻略を進めるか、だったね。ずいぶん遠回りしたけど、僕はようやくこの質問に答えることができる。僕は、自分が生きるために攻略を進める。これはつまり、理想の自分に近づくために攻略を進めてるってこと。そして僕の理想は――君だよ、シリカ」

 シリカが再び「ええっ、私ですか!?」と先程より大きな声で叫んだ。
「どうして! あたしよりマルバさんのほうがよっぽど――」
「人間味がなくて、理屈ばっかりの、頭でっかち」
「冗談やめてください! 中層で死ぬはずだったあたしを助けてくれたのはマルバさんじゃないですか! あたしはあの時までずっと、自分でこうやって先に進む力だって持っていなかった! あたしが始まりの街で震えてた間もずっと攻略を続けてたマルバさんがあたしを尊敬するなんておかしいですよ!」
「いや、冗談じゃないよ? 事実僕は君に会うまで、アスナも真っ青の『攻略の鬼』だったからね。見た目はそうじゃなかったかもしれないけどさ、君の言ったとおり、あの頃の僕はこの世界で生きる意味を果たして死ぬ気満々だったんだ。君が居なかったら僕はここには居ない。あの時から、僕の目標はいつも君だったんだよ。僕は君のようにまっすぐに、自分らしく生きたいのさ」
「マルバさん、バカですよ! 尊敬するならもっと他のがいるでしょう、こんなどこにでもいるようなあたしを目標にしてなんの意味があるんです!」
「僕は君がいいんだよ、シリカ。他でもない君がね」
「まだ言いますか! ああもう、マルバさんがこんなバカな人だったなんて思いませんでした、このバカ! バカバカばかぁ……!」
 バカバカバカと連呼していたシリカだったが、次第に涙声になり、罵倒の言葉も勢いを失っていった。誰かに無条件に信頼され、肯定されることが、どんなに安心
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