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ソードアート・オンライン もう一人の主人公の物語
■■インフィニティ・モーメント編 主人公:ミドリ■■
壊れた世界◆生きる意味
第六十話 生きる意味:マルバ&シリカ
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 マルバとシリカ、ミドリとストレアの二組が互いにテーブルを挟んで向かい合った。マルバたちがミドリを冷たい視線で見つめ、ミドリは身を縮こまらせた。
「悪かったって……」
 ミドリが何回目か分からない謝罪の文句を唱えると、マルバとシリカは互いに目配せし合い、ようやく視線に込めた冷たさを和らげた。
「あのさ、勘違いしないでほしいんだけど、僕たちは君を心配してたんだからね? どんな事情があったにしろ、せめて理由くらい伝えていって欲しかったよ」
「それについては一応書き置きを……」
「あんな『自分探しの旅に出ます』なんてたった一言の書き残しであたしたちがミドリさんの考えを理解できると思ってたんですか? もう、ミドリさんはもっと慎重な人だと思ってたのに……」
 ため息をついたシリカに対し、ミドリはもう一度謝った。
「もういいです。ミドリさんにも思うところがあったんだなってわかりましたから。それで、今日は一体どうしたんですか? もしかして、戻ってくる気になってくれたんですか?」
「悪いが……そういうわけじゃないんだ。本当にすまないが」
「あっ、責めてるんじゃないんです。ミドリさんが元気にやっていてくれてるなら、それが一番です。一緒にいた最後の方、ミドリさんなんだかとっても辛そうでしたし……。今もなんだか辛そうですけど、一体どうしたんです?」
「……自分探しの旅はもう終わったんだが、今度は別の問題が出てきちまってな。その解決のために君たちの力を借りたいんだ。そのために、俺はストレアと一緒にここに来た」
 マルバとシリカがストレアの方をちらりと見た。彼女もユイと同じMHCPだということだが、やはり言動は人間にしか見えない。

「聞かせてもらっていいかな。……君たちは一体何のために攻略をしているの?」
 ストレアの問いかけに対し、シリカとマルバは再び視線を合わせ、少し考え込んだ。
「百層をクリアするため……っていうのは建前ですね。ただ下層で何もできずに震えているのは嫌だったから、だからわたしはマルバさんについて来たんです。わたしはマルバさんと一緒に居たくて、マルバさんを理解したくてここまで来たということもあります。あの時から、私の思いは変わっていない……と思います」
「僕もまあ、百層をクリアすることにそんなに意味があるとは思ってない。――明確に言葉にするのは難しいけど、僕は生きるために戦っている」

 生きるために戦っている。ミドリとストレアは、そしてシリカも、目を見開いてマルバを見つめた。マルバは慌てて説明を加えた。主にシリカに対して、であるが。
「ってそんな泣きそうな目で見ないでよ、シリカ。前の僕とは違うんだよ。あー……みんなにも説明するけど、以前、僕は百層を目指して、このSAOを攻略するために戦った戦士として名を残したいと思ってたんだ
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