第四章
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弘は顔を上げた。そして頷いた。
「子供は三人で」
「えっ!?」
話がいきなり飛んでしまった。義弘はそれに戸惑いを覚える。だが彼女の話はそれで終わりではなかった。
「犬と猫も飼って。子供達に一匹ずつで三人って」
「あの、俺そこまでは」
考えている筈もない。結婚するかどうかというのすらよく考えれば高校生では殆ど夢みたいな話だというのに。だが晃子の夢はさらに飛躍していた。そしてそれは止まらなかった。
「それで。世界一幸せになろうね」
「幸せに」
「うん、二人で」
ここで顔を上げてきた。義弘を見る。
「それでいいよね」
「うん」
この問いには迷うことはなかった。こくりと頷いた。
「じゃあ私義弘君の御嫁さんに」
「なってくれるんだね」
「今は無理だけれどね、やっぱり」
「それはね」
「けれどね、折角こうして付き合うことが出来たんだし」
「今一緒にいるし」
「これからも一緒にね」
「うん、二人で」
「幸せになろうね、世界で一番」
にこりと笑ってこう言い終えた時だった。空に流れ星がまた現われた。
「また。お願いする?」
「勿論よ。今度はね」
義弘にもお願いした。
「二人で。お願いしよう」
「そうだね、二人でね」
義弘もにこりと笑った。そして二人で星を見た。
それから二人で流れ星に願いごとをした。お願いしたことは二人同じであった。そう、同じだった。そのままずっと二人で同じ時間を過ごすことであった。
幸せ 完
2006・7・16
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