第三章
[1/2]
[8]前話 [1]次 最後 [2]次話
「そのことを認めよう」
「有り難きお言葉」
「褒美は出す」
約束通りだ、少なくとも劉邦は気前がよかった。功臣達に惜しみなく褒美を与えていた。それは張良にも同じだった。
そのうえでだ、張良に言うのだった。
「これからも漢の為に尽くすのじゃ」
「わかりました」
張良は劉邦に応えた、だが。
すぐに彼はほぼ隠棲して仙人になる為の修行に入った、俗世のことにはほぼ関わらない様になった。それを見て劉邦の側近であり功臣の一人蕭何が彼に問うた。
「もう世には出られないのですか」
「元々あまり興味はありませんでした」
達観して澄み切った顔でだ、張良は蕭何に答えた。
「ですから」
「皇后様には進言されましたね」
「太子のことで、ですね」
「はい、四人の老賢者を後見にされよと」
蕭何は張良にこう返した。
「進言されましたが」
「皇后様に乞われましたので」
だからだというのだ。
「それ故にです」
「ご自身から動かれませんでしたね」
「その通りです」
「やはり俗世にはもう、ですか」
「関心はありません」
やはり澄み切った顔で言う張良だった。
「最早」
「でjは仙人になられ」
「俗世を出ようと思います。それに」
「それに?」
「私はこれ以上宮中、俗世にいても危ういだけです」
「張良殿ご自身が」
「確かに俗世にはもう関心がありませんが」
それでもだというのだ。
「刃で死にたくはありませんので」
「刃で」
「劉邦様は皇帝になられてから変わりました」
ここでだ、張良は寂しい顔になった。目には寂しさも宿っている。
「これまで表に出なかったものが出て来ておられます」
「猜疑が」
「はい、特に功臣の方々に」
このことを蕭何に言うのだった。
「おそらく韓信殿、英布殿、彭越殿は」
「ご存知でしたか」
蕭何は張良の今の言葉に唾を飲み込んだ、そのうえで言うのだった。
「そのことを」
「劉邦様はこの方々を危うく思っておられますね」
「左様です、そして私にも何かとお話をされ」
「皇后様にも」
「そして皇后様も」
劉邦の正妻である呂后もというのだ。
「宮中の中において」
「戚夫人をですね」
「その通りです」
「皇后様は今は何も為されませんが」
「やがては」
「そうなるでしょう」
こう蕭何に言うのだった。
「そしてその中で多くの血を流れます」
「では張良殿も」
「劉邦様は皇帝の座を守りたいのです」
これが第一になっていた、皇帝になってからの劉邦は。
「ですから私も」
「ご自身の座を脅かすと見れば」
「私はそうした死に方はしたくありません」
「だからですか」
「仙人にもなりたかったですし」
天下が収まり一つになったのをいい機としtえ、というのだ。
「こ
[8]前話 [1]次 最後 [2]次話
※小説と話の評価する場合はログインしてください。
[5]違反報告を行う
[6]しおりを挿む
[7]小説案内ページ
[0]目次に戻る
TOPに戻る
暁 〜小説投稿サイト〜
利用規約/プライバシーポリシー
利用マニュアル/ヘルプ/ガイドライン
お問い合わせ
2024 肥前のポチ