第一章
[2]次話
軍師
張良は漢の劉邦に仕え彼の軍師として働いていた、彼の策により漢は何とか楚の攻勢に耐えていた。その中で彼はただ戦のことだけを劉邦に進言したりはしなかった。策として買収や暗殺といったものも多く進言した。
そのうえで劉邦の命を救い漢の窮地を救っていた、だが。
「少しな」
「どうかと思う」
「策がな」
「お世辞にも綺麗とは言えぬ」
「どうにも」
こう言う者もいた、実際にだった。
張良の策は汚いものも多かった、そしてそうした策を彼は迷わずに劉邦に進言していた。それはこの時もだった。
その策を聞いてだ、当の劉邦も驚いて張良に問い返した。
「その策をか」
「はい、すべきです」
張良は劉邦の前に畏まって彼に答えた。
「ここは」
「しかしその策は」
「どうかというのですか」
「あまりにも汚いのではないのか」
怪訝な顔での言葉だった。
「どうにも」
「しかしです」
「それでもか」
「この策を用いればです」
その時はというのだ。
「相手は弱まり」
「そしてか」
「漢の利になります」
「だからこそか」
「はい、ここはこの策を受け入れて下さい」
彼が言うその策をだというのだ。
「是非」
「ううむ、左様か」
「しかしその策は」
ここでだ、劉邦の臣下の一人である儒者の?食其が言った。
「あまりにも」
「そなたもそう思うか」
「はい、どうにも」
こう劉邦に言うのだった。
「過ぎると思います」
「そうじゃな、わしもな」
劉邦も彼の座で難しい顔で言うのだった。
「そこまではな」
「ですから」
「しかしです」
だが、だった。張良は引かずに言う。
「この策でなければ」
「ならぬか」
「左様です、あの国は倒せませぬ」
「そしてじゃな」
「楚も倒せませぬ」
最大の敵であるこの国もというのだ。
「ですから」
「そう言うのか」
「左様です」
「そうじゃな」
劉邦は暫し沈黙した、そのうえで張良に対して重苦しい声でこう答えた。
「ではそなたの策を容れよう」
「有り難うございます」
「それが利になるというのならな」
「利になるからこそ」
それ故にと言うのだった。
「私も申し上げます」
「そういうことじゃな」
劉邦は決意し張良の策を容れてそれをさせてだった。確かに利は得た。だがそれでもだった。
その策についてだ、世の者は口々にこう言った.。
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