第二章
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「付き合うな」
「そうしてくれるんだな」
「当たり前だ、俺は何だ」
「俺のセコンドだよ」
にやりと笑ってだ、こう返した彼だった。
「だからか」
「ああ、付き合うな」
「悪いな」
「おいおい、それがセコンドの仕事だろ」
練習に付き合うことが、というのだ。選手である彼の。
「だったら悪くも何もないさ」
「そうか、じゃあな」
「準備体操は忘れるなよ」
「わかってるさ、身体はほぐさないとな」
トレーニングの前にはというのだ。
「怪我するからな」
「怪我はするな」
このことは絶対にというのだ。
「怪我をしたら元も子もないからな」
「そうだよな、試合中の怪我にしてもな」
「練習中の怪我もな」
それもというのだ。
「するな、だからな」
「丹念に準備体操をしてな」
「それからだ」
そのうえでというのだ。
「わかったな」
「よし、それじゃあな」
こう言ってだ、そしてだった。
ホアは早速練習をはじめた、試合に負けたその日に。そしてその中でだった。
相手、チャオのその蹴りについてだ、彼は練習中にインタウに言った。
「あいつの蹴りだけれどな」
「それのことか」
「速かった、しかもな」
「数もな」
「凄かった、尋常じゃない蹴りだった」
まさに流星の如き蹴りだった、それでだ。
「あの蹴りをどうにかしないとな」
「チャオには勝てないな」
「とてもな」
到底とだ、ホアは言うのだった。
「俺はそう思うんだがな」
「俺もだ」
インタウもだ、スパーリングの相手をしながらホアに答えた。
「あの蹴りをどうにしかないとだ」
「負けるな」
「また戦ってもな」
「それじゃあどうするかだな」
「俺が思うことだがな」
インタウはホアの痩せた細長い顔、髪の毛を短く刈り込み鋭い目をしているその彼の顔を見てこう言った。目の光はかなり強い。
「御前とあいつの体格は同じ位だ」
「俺は一八〇でな」
「あいつは一八一だ」
その背はというのだ。
「あいつの方が背は高いがな」
「同じ位だな」
「身体つきもな、筋肉のつき方も」
「同じ位だ」
そうしたこともというのだ。
「大体な」
「体格は一緒jか」
「全部な」
「じゃあどうすればいいんだ」
「俺が思うことだ」
この前置きからだ、インタウはホアに言った。
「御前もあの技を出せないか」
「あの蹴りをか」
「あの蹴りはかわせない」
これは無理だというのだ。
「速さも数もかなりだからな」
「それでか」
「ああ、かわすことは出来ない」
それは無理だというのだ。
「だからな」
「それは諦めてか」
「他のやり方でいくしかない」
「じゃあ防ぐか」
ホアはまずはこう言った。
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