第四章
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「そいつ等か」
「ああ、噂になってたの」
「そいつが御前の店に来たんだな」
「そう、それでまた来るとか言って」
そしてだというのだ。
「偉そうに帰って行ったわ」
「偉そうにか」
「お店の中で散々怒鳴り散らしてからね」
「営業妨害だろ、それは」
「本人達に自覚ないみたいよ」
営業妨害だというそれは、というのだ。
「それでね」
「また来る、か」
「そう言ってるのよ」
「おい、その日は何時だ?」
フェリペは目を怒らせて電話の向こうの妹に問うた。
「それで」
「ええ、日曜日にね」
「また来るっていうんだな」
「そう言ってたわ」
「わかった、じゃあその日はな」
「どうするのよ、兄さん」
「俺が店に行く」
妹夫婦がしているその店にだ。
「そうしてその日本人達にな」
「思い知らせてあげるっていうのね」
「言われたままで、暴れさせたままで済ませるか」
燃えてだ、こう言うフェリペだった。
「スペイン人はやられたらやり返せだからな」
「それで、っていうのね」
「潰してやるぜ」
あらためて言うフェリペっだった。
「だから行くな」
「お願いするわね」
「それじゃあな」
こう話してだ、そのうえで。
フェリペは日曜日に妹夫婦が経営している二号店に行くことを約束した、だがその前にだった。
本店と一号店の距離はそんなに離れていない、自転車で行ける距離だ。そして実際に自転車に乗ってだった。
二号店に行って妹夫婦と会った、妹のデリラと夫のハイメも彼が料理を教えた。その二人にだ。
詳しい事情を聞いた、それは大体デリラが言った通りだった。
そうしてだ、彼は妹夫婦が食べた料理を食べてみた、その味は。
「いいぜ、美味いぜ」
「ええ、そうよね」
「美味しいですよね、俺達の料理って」
「これで酒と釣り合わないって言うのかよ」
「そうなのよ」
「やっぱり言い掛かりですかね」
「日本人にもそんな奴いるんだな」
あらためて言う彼だった。
「そんなならず者が」
「そうね、偉そうで柄が悪くて」
「とんでもないマナーの悪い連中でした」
「お金は持っているみたいだけれど」
「品性は最悪でしたよ」
「まあうちの店も居酒屋だからな」
それで、とも言うフェリペだった。
「けれどな」
「それでもでね」
「幾ら何でもあの二人はないですよ」
「着物のおっさんは陶芸家で息子は新聞記者らしいけれど」
「本当に品が悪かったです」
「本当にヤクザかゴロツキだったわ」
「冗談抜きで警察呼ぼうって思いました」
他の客達にも迷惑だからである。
「そんな客だったけれど」
「そんなことを言って来たのよ」
「そうか、そしてか」
ここでまた言うフェリペだった。
二人の料理をまた食べて
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